採算悪化等による卵の減産で、 消費地の卵価が上昇 (中国)



春節以来、 供給不足が顕在化

 今年に入ってから、 主要な卵市場である江蘇省、 上海地域では需給の変化が起こ っている。 春節 (中国の正月‥2月初め) 以来、 供給不足が顕著になっており、 産 地の江蘇省北部では、 その生産量は、 国有企業取扱高でみると前年の3分の2、 そ の過去最高からみると80%も減少している。 なお、 その原因としては、 次の点が挙 げられる。 (1) 計画経済時代は、 卵価格は食肉価格とほぼ同等であったが、 ここ数年は食肉 価格の40〜50%に過ぎず、 魅力的な価格でなくなった。 (2) この間の飼料価格の大幅な値上がりによる収益性の悪化。 (3) 数年前から大規模養鶏ブームとなったが、 その生産卵の多くが品質の面から 市場で歓迎されず、 専業養鶏農家の多くが廃業したこと。 (4) 今春雛鶏市場では販売が不振で、 孵化場が採算割れとなったことから、 雛鶏 の生産が減少した。

上海、 近隣都市では夏に価格が急上昇

 こうしたことから、 このところ卵の市場出回り量が減少しており、 (最大消費地 である) 上海では、 8月の価格は5月の価格から10%上昇している。 また、 蘇州、 無錫などの大都会でもかなり上昇している。 卵価格は今秋を通じて上昇を続け、 こ の傾向は来春まで続くと予想されている。

価格形成の適正化と政策支援が急務

 卵生産量の減少は、 その市況にかなりの影響を与えていることから、 早急に、 次 のような有効な対策を講ずる必要がある。 (1) 採卵鳥の飼養羽数を増やし、 時期を失わずに、 秋の孵化を十分に行うこと。 (2) 価格の開放度を高め、 市場動向に応じた卵価格が形成されて、 市況を反映し た市場への供給が実現するよう措置すること。 (3) 肉豚や豚肉の供給と同等に卵の生産を重視し、 国の政策によってこれを保護 すること。 肉禽蛋信息 (95. 10. 10付け) (参考) 94年の卵生産量は1, 479万トン (なお、 食肉の総生産量は4, 499万トン)
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