養豚業界、 飼料用トウモロコシの輸入を要請 (フィリピン)



 養豚業界は、 11月中旬、 政府のトウモロコシ輸入抑制施策を批判し、 業者による

直接輸入の認可など幾つかの改善策を要請した。 近年の食肉需要の増加を背景に、 

政府の制限的な飼料輸入政策に対する不満が高まっている。 

トウモロコシの生産拡大を計画

 フィリピンの93年のトウモロコシ生産量は480万トンで、 東南アジアではタイを 抜いてインドネシアに次ぐ生産国となったが、 このうち、 食糧向けの需要は5分の 1ほどに過ぎず、 大部分は飼料用である。 主産地は南部のミンダナオ島であり、 こ こで全体の3分の2が生産されている。 このため、 農業省は、 中期開発計画 (フィ リピン2000) において、 同島を畜産業の中心として位置付け、 急速な生産拡大と輸 出の実現が可能な養豚及び養鶏を重要な柱と定める一方、 飼料となるトウモロコシ の増産にも力を入れることを決定した。 同計画によると、 98年のトウモロコシの生 産目標は700万トンとされた。

供給不足により業界の不満が高まる

 しかし、 フィリピン養豚協会によると、 干ばつの影響等によりトウモロコシの生 産は伸び悩んでおり、 最近では供給不足が日常化している。 価格も、 以前は5ペソ /kg (約20円/kg) であったものが、 最近では6ペソ/kg (約24円/kg) に上昇し、 養豚業界にとっては死活問題に発展している。  これに対し、 農業省は、 国家食糧庁によるトウモロコシの一元的輸入と売渡入札 による国内供給を計画した。 しかし、 同協会は、 多額の輸入売買差益が農産物競合 効果基金 (一種の価格安定基金) に充当されるのは不当であるほか、 高すぎる最低 売渡価格 (6ペソ/kg) が養豚経営を圧迫し、 さらに、 売渡入札の現金前払制度に よって資金力のない中小業者が実質的に排除されるとして、 同計画の実施に強く反 対し、 業界による直接輸入の認可、 売渡価格の引下げ、 業界団体に対する公平な売 渡しの実施等を要求している。
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