貿易自由化を目指した計画が始動 (ASEAN)



 ASEAN7カ国内の貿易自由化を目指した計画 (ASEAN自由貿易圏計画‥AFTA) が、 

96年1月から開始される。 11月末には、 関税化等の実施がさし当たり困難な品目

のリストが各国から公表されるなど、 具体的な実施に向けて動き始めた。 

当面は低関税率の適用範囲を拡大

 AFTAは、 92年1月のシンガポールでの第4回首脳会議で合意され、 93年1月に 正式に発足した。 その目的は、 域内の非関税障壁の除去 (関税化) と関税率の引 下げを通じて域内貿易を促進し、 国際競争力を強化することとされている。 AFTA に参加する加盟国は、 当面、 貿易品目ごとにHSコードに準拠して低率の共通特恵 関税率 (CEPT) を設定し、 かつ、 これを2003年までに0〜5%に引き下げること が求められている。 CEPTの適用品目は参加国の自主的判断で決定されるが、 この 適用品目リストには約4万の品目が載せられており、 一般にも公表されている。 本年9月にブルネイで開催されたASEANの経済閣僚会議では、 来年1月以降、 新 たに1, 358品目をCEPTに移行することが確認されたが、 この具体的な品目名は未 だ公表されていない。

非加工農産物の取り扱いが焦点

 一方、 CEPTの適用が留保される品目のリストは除外表 (TEL又はセンシティブ リスト) と呼ばれ、 また、 CEPTを全く適用しない品目のリストは絶対除外表 (GEL) と称されている。 このうち、 GELは、 国家が治安や秩序維持のために輸入を制限 している品目であり、 武器、 イスラム教国における酒類、 シンガポールのチュー インガムなど、 品目数は少ない。 むしろ問題とされるのはTELであり、 その大部分 は、 非加工農産物である。 もともと、 AFTAの計画には非加工農産物の関税化は含 まれていなかったが、 ウルグアイ・ラウンドが農産物を含めて決着されたため、 WTOとの整合性を標榜するAFTAも、 農産物を含めざるを得なくなったという経緯が ある。 いずれにせよ、 来年1月からのAFTAの始動が順調になされるかどうか、 注 目されるところである。
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