畜産分野の進出相次ぐミャンマー



 ミャンマーは、 日本の約2倍の国土と豊富な天然資源を持ち、 外国資本の誘致

や民間企業の育成を積極的に推進している。 政治的にも安定度が増すなか、 同国

は安価な労働力と飼料生産の可能性を背景として、 養鶏産業などを中心に畜産分

野でも急速な発展が期待されている。 



経済の活性化で開発が進展

 ミャンマーは、 東南アジアではインドネシアに次ぐ広い国土を持ち、 米、 木材、 天然ガスなどを産出するが、 未開発部分も多いと言われる。 人口は約4,300万人、 1人当たりGDPは670ドル (94年、 Bangkok Post 紙) と、 昨年ASEANに加入し たベトナムの190ドルをはるかに凌いでいる。 年間1人当たりの畜産物消費量 (93 /94年、 推計) は、 肉類が4.5kg、 家きん卵が22個、 牛乳は12.4kgである。 牛乳 の消費が比較的多いのは、 ミルクのたっぷり入ったお茶を飲む習慣が影響してい る。 ここ数年の経済の活性化に伴って、 短期的には国内需要の充足、 長期的には 輸出をも視野に入れた畜産開発が活発化しつつある。

タイの大手企業が進出

 タイの複合企業CPグループは、 中国、 ベトナムに次いでミャンマーでも飼料生 産と養鶏事業を開始する。 飼料原料の生産は、 CPが独自に開発した多収量トウモ ロコシ品種を播種時期である今年5〜6月に導入して開始する計画であり、 現在 は、 ミャンマー中部域で栽培適地を選定している。 今後は、 約1億バーツ (4億 円) を投資して飼料工場、 ブロイラー養鶏場、 食鳥処理場を建設する予定であり、 認可となり次第、 今年半ばにも着工する意向である。  一方、 日系2社が現地資本と合弁で設立した企業は、 ヤンゴン市内の鶏卵需要 を対象に採卵養鶏事業を開始する。 首都ヤンゴンの北約1時間のところに20haの 用地を確保しており、 当面、 1万羽のコマーシャル鶏を導入して成績を見たあと、 結果によっては種鶏の導入まで検討する。

シンガポールも積極投資

 シンガポールは、 数年前からホテル産業などを中心に活発な対ミャンマー投資 を続けており、 投資額では第2位となっている。 1月下旬にミャンマーを訪問し た通産大臣ほかは、 養鶏を含む4つの技術協力プロジェクト (他に観光開発、 人 材養成、 米作) の実施に両国が合意したと発表した。 これらの背景にあるのは、 日当が約100チャット (約100円) という安価な労働力と同時に、 畜産に不可欠な 飼料穀物の開発余地が大きいという点であろう。 ASEAN加入も間近いと言われる 中、 外国資本の進出は今後も続くものと見られ、 畜産分野でも注目すべき国の1 つである。
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