● 上昇傾向に転じた肉牛価格
肉牛価格の指標となる牛のタイプは、 国内向けの若齢牛 (枝肉体重200kg以下
のもの)、 日本向け肥育牛(同300〜400kgの大型去勢牛)、 及び米国向け経産牛(同
200〜260kgのもの) が主なものとなっている。
これらの牛の価格は、 主要輸出市場である日本における米国産牛肉との競争激
化や、 米国の生産増を背景とした対米輸出不振等の影響を受けて、 ほぼ2年前か
ら低迷を続けていたが、 今年5月頃に底入れの兆候を示した後、 6月に入ってか
らは反発に転じ、 現在までのところ、 全タイプで上昇傾向で推移している。
● 肉牛価格、 全体的な回復基調に
10月の各タイプの牛の価格 (速報値) は、 市況が底入れしたとみられる今年5
〜6月と比較すると、 国内向け若齢牛で13%高、 日本向け肥育牛で31%高、 及び
米国向け経産牛で36%高といずれも大幅に上昇している。 また、 10月の価格は、
依然として前年同月の水準までには回復しないものの、 前年同月比で見ると、 底
とみられる5〜6月が各タイプで61〜67%であったのに対して、 10月はいずれも
90%前後まで回復しており、 市況の反転傾向を強く示唆するものとなっている。
これらのタイプの牛は、 仕向けられる主要市場がそれぞれに異なることから、
それぞれ独自の価格トレンドを示すことが多いが、 前述のとおり、 指標となる3
タイプには、 そろって上昇傾向がみられる。 このことは、 長期間低迷が続いてい
た肉牛価格は、 全体的な傾向としても、 回復基調に向かいつつあると考えられる。
● と畜用出荷頭数の減少がその背景に
このような市況転換の兆しが出てきた原因としては、 主産地である東部地域の
天候条件が概ね良好 (降雨) であることから、 生産者の保留意欲が高まり、 全体
的にと畜用としての市場出荷が減少し、 肉牛需給が引き締まってきたことが挙げ
られる。 ちなみに、 今年1〜8月のと畜頭数の動向を見ると、 その前半の1〜4
月が対前年同期比3. 8%であるのに対して、 後半の5〜8月では同9. 5%減と、
逆に減少傾向を示している。
さらに、 このところ低迷していたわが国及び米国への牛肉輸出価格には、 徐々
に反発する傾向が表れており、 これが肉牛価格に反映している面も無視できない
と考えられる。 それぞれの代表的な品目である、 日本向けのグラスフェッド・フ
ルセット (冷蔵) と米国向けの加工用90CLの価格及び対前年同月比を見ると下表
のとおりであり、 10月は、 いずれも大幅に上昇している。
<主要輸出品目価格及び対前年同月比>
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5〜6月 10月
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日本向けのグラスフェッド(冷蔵) 123〜124 144 (単位:USセント/ポンド)
(72〜75%) (88%)
米国向けの加工用90CL 173〜175 195 (単位:Austセント/s)
(80〜82%) (92%)
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(注)1.CL:化学的測定赤肉含有率
2.( )内は前年同月比
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