米国の豚肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○豚肉の輸出入動向


● 96年4月は、 記録的な輸出増


 米農務省 (USDA) によると、 96年上半期の豚肉の輸出量は、 24万2千トンとな り前年同期比40.2%、 実数では7万トンの大幅な増加となった。  月別の動向では、 1月から3月にかけては前年同月比6.5%から29.6%の増加 にとどまったのに対し、 4月は5万8千トンと前年同月比134.7%、 また、 5月 も5万2千トンと、 前年同月比101.9%の大幅な増加となった。 しかし、 6月に は3万2千トン、 前年同月比5.4%減少と、 一転してマイナスに転じた。  4月以降、 輸出量が急増した理由について、 95年11月から発動された、 日本の 豚肉の輸入緊急措置 (SG) が4月に解除され、 基準輸入価格が引き下げられたこ との影響が大きいものとUSDAでは見ている。 また、 6月にマイナスに転じた理由 は、 日本の需要者が3月までに手当てしていた豚肉の日本向け輸出が4月と5月 に集中したこと、 また、 6月には、 7月からのSGの発動を想定して日本への船積 みを制限し、 輸出量が減少したためであると考えられる。  日本の食肉加工メーカーが、 96年4月の基準輸入価格の引き下げと今年度のSG 早期発動を想定して、 昨年11月のSG発動以降、 今年3月末までの間に、 特に冷凍 品の原料用豚肉について1年分の手当てを行い、 4月以降に日本国内に輸入した ものと考えられる。 今後は、 一定の需要があるチルド豚肉の対日輸出が、 コンス タントに行われていくものと思われる。

● 対日輸出量は急増


 96年上半期の相手国別の輸出量は、 日本向けが14万1千トン (総輸出量の58.0 %)、 カナダ向けが2万2千トン (同9.2%)、 メキシコ向けが1万1千トン (同4. 6%) となっている。  日本向けの月別輸出量は、 4月から豚肉の基準輸入価格が引き下げられたこと 等から、 4月には前年同月比210.4%、 5月には同108.7%、 6月には同41.6%の 増加となり、 4月から6月の合計では8万9千トンと、 117.5%の大幅な増加と なった。

● 輸入量は、 前年に比べ減少


 95年に40数年ぶりに豚肉の純輸出国に転じた米国は、 96年上半期の輸入量が、 13万7千トンと前年同期比12.1%の減少となった。 今後も、 輸出量が輸入量を大 きく上回る傾向が続くものと見られている。  なお、 輸入量の動向を国別にみると、 カナダが9万5千トンと前年同期比9.0 %の減少、 デンマークが2万8千トンと前年同期比19.8%の減少、 ポーランド及 びハンガリーが4千トンと前年同期比15.5%減少となっている。
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