◇絵でみる需給動向◇
米農務省 (USDA) の発表によると、 97年第2四半期のブロイラー生産量 (可食 重量ベース、 骨付き、 以下同じ) は、 6月が前年同月比10.4%と大幅に増加した こともあり、 前年同期に比べて5.3%の増加となった。 なお、強い寒波の影響によ り第1四半期の生産が減少したことから、 1月から6月までの上半期では、609万 1千トンと、 前年を2.5%上回るにとどまった。
また、 USDAは、 これとは別に96出荷年度 (95年12月〜96年11月) の州別の生産 動向を公表したが、 これによると、 アーカンソー州が前年度に比べ13%増となり、 前年度トップのジョージア州を抜いて、 全米で最大のブロイラー生産州となった。 第2位はジョージア州 (前年度比10.1%増)、 続いてアラバマ州、ノースカロライ ナ州、 ミネソタ州の順となっている。 これら上位5州は、 中南部や南東部に集中 しているが、 5州の生産量を合わせると、 全米総生産量のおよそ6割に達してい る。 また他の州で、 著しい生産増が見られたのはウィスコンシン州で、 主要州に比 べると生産量はわずかではあるが、 前年度に比べて46%増と飛躍的に増加した。 一方、 大幅な減少に転じた州は、 ネブラスカ州、 ミシガン州で、 前年度に比べて それぞれ28.5%減、 22.8%減となった。 こうしたことから、 ブロイラーの生産構造は、 中南部、 南東部の主要州に、 益 々集中していく傾向が顕著になりつつある。
ちなみに、 米国全体のブロイラー生産は、 70年代後半以降国内や海外の需要に 支えられて、 ほぼ一貫して前年水準を上回って推移してきた。 96年は、 飼料穀物 価格の高騰や国内需要の低迷などの影響を受けて、 一時的に生産が縮小したもの の、 秋以降は、 飼料穀物価格の低下に伴う収益の回復により、 生産者の増産意欲 が増したことから、 再び拡大傾向となっている。 ブロイラー生産の指標となるひな導入羽数は、 97年に入ってから前年水準を上 回って推移しており、 97年6月第4週では、 前年同週を5.0%上回っている。これ らのひなは、 今秋初め頃に処理されることになるため、 今秋にかけても、 引き続 き生産の増加傾向が続くものと見込まれる。
しかしながら、 特に近年においては、 ブロイラーの生産拡大を大きく支えてき た輸出部門で、 主要仕向け先であるロシア、 中国 (香港経由含む)、日本などへの 輸出需要が低迷 (日本向けは、 中国などにシェアを奪われたことによる) してい ることから、 供給過剰気味となっており、 ブロイラー価格は軟化傾向を示してい る。 こうしたことから業界関係者は、 秋以降も生産拡大を維持するためには、 輸 出需要の回復が大きな鍵となるとみている。
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