世界の飼料穀物の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○穀物生産の増加の見通しを発表 (豪州)



● 小麦、 大麦ともに二桁の伸び


 豪州農業資源経済局 (ABARE) は、 6月、 穀物の主要な生産地域が、 5月以降、 
適度な降雨に恵まれたため、 同国の穀物生産量が大幅に増加するとの見通しを発
表した。 穀物生産見通しを種類別に見ると、 小麦が前年度比43%増の23百万トン
へ、 大麦も同14%増の6.6百万トンへと、いずれも大幅な増産が見込まれているほ
か、 ソルガム等の冬穀物の作付けも順調に進んでいると報告されている。 

● 飼料穀物は大麦が主体


 豪州の穀物生産は、 小麦が圧倒的に多く、 続いて、 大麦、 えん麦、 ソルガムと
なっており、 トウモロコシや大豆の生産量は相対的に少ない。 また、 飼料穀物と
しての利用は大麦が最も多く、 続いてえん麦、 小麦、 ソルガムの順であり、 トウ
モロコシの飼料穀物としての利用もかなり少ない。 ちなみに、 小麦の飼料用消費
は、 一時 (92/93年度) は約2百万トンに達したが、 その後、 輸出の増加等に伴
って減少した。 

 一方、 飼料穀物の需要量を畜種別に見ると、 肉牛が約28%、 ブロイラー同26%、 
養豚同25%、 酪農同21% (94年、 ABARE調査) となっており、肉牛フィードロット
による飼料穀物需要の比重が高いことが伺える。 

● 生産量の7割以上を輸出


 また、 豪州は世界有数の穀物輸出国であり、 96/97年度には、 小麦は生産量の
約80%に相当する約19百万トン、 大麦についても同70%に相当する5百万トンが
輸出されると見込まれている。 また、 同国は、 我が国にとっては、 飼料用大麦お
よび小麦の最大の輸入相手国であり、 平成8年度の我が国の輸入量及び輸入シェ
アは、 それぞれ、 69万トン (51%)、 56万トン (58%) に達している。 

● エルニーニョによる影響が懸念


 一方、 豪州の穀物生産は干ばつの影響を受け易く、 一度、 干ばつが発生すると
生産量が激減し、 輸出にも大きな影響が及ぶ。 こうした中で、 現在、 南米大陸ペ
ルー沖における大規模なエルニーニョ (海表面水温の異常上昇) の発生が報告さ
れており、 豪州の穀物生産に及ぼす影響が懸念されている。 エルニーニョと異常
気象との関連は、 まだ完全に解明された訳ではなく、 未知数の部分が多いものの、 
82年から83年にかけて過去最大のエルニーニョが発生した時、 豪州は、 深刻な干
ばつが発生し、 穀物生産が大打撃を被った経緯がある。 このため、 飼料穀物の大
半を輸入に依存している我が国畜産業にとっても、 今後の豪州の穀物生産動向が
大いに注目されるところとなっている。

豪州の穀物需給(96/97年度)

 資料:ABARE「CROP REPORT」

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