徐々に広がるダチョウ飼育 (マレーシア)



● 関心の高まるダチョウ飼育

 マレーシアでは、 95年頃から、 ダチョウの飼育が徐々に広がり始めている。  現在、同国内におけるダチョウの総飼養羽数に関する正確なデータはないが、国 立の農業関係の試験研究機関であるマレーシア農業開発研究所 (MARDI)の調査に よると、 既に1千万リンギ (約5億円) 以上がダチョウ飼育に投資されたとして おり、 かなりの広がりを示している模様である。

● 畜産の一部門として期待

 ダチョウは、 多くの部分が有効に利用されるが、 特に、 羽毛、 皮、 食肉は高値 で取り引きされている。 ダチョウは、 1年で約40個の卵を産むが、 そのうち約3 分の2がふ化してひなとなり、 3年後には、 1羽当たり約50キロの食肉の生産が 可能となる。 同国においては、 ダチョウの肉は、 キロ当たり60リンギ (1リンギ =約46円) と、 他の食肉と比較して非常に高値で取り引きされている (羊肉15リ ンギ、 牛肉11リンギ (クアラ・ルンプール市場価格))。 これらのことから、 同国 政府も、 ダチョウ飼育が、 将来、 畜産の1部門として発展していくことを期待し ている。

● 飼育技術の研究も開始

 同国内には、 4月現在14ヵ所のダチョウの飼育センターがあるが、 このうち4 ヵ所は農業省獣医局 (DVS) の運営によるもので、他の10ヵ所は民間によるもので ある。 また、 5月には、 このほか新たに、 2ヵ所で民間によるダチョウの飼育が 開始された。  こうした動きを受けて、 MARDIでは、南アフリカの民間企業と共同でマレーシア におけるダチョウの飼育技術を確立するための調査研究を始めている。

● 個人投資には慎重な対処を呼びかけ

 ダチョウ飼育を行う民間企業の中には、 土地や種鳥の購入などの初期投資を軽 減するため、 ダチョウ飼育の将来性を宣伝し、 個人向けに小口投資を呼びかける 新聞広告を掲載するものも現れている。 さらにダチョウの飼育が広がっているこ とは新聞などでも報じられていることから、 新たな投資対象としても注目されつ つある。  これらの投資に関しては、 まだ、 問題は発生していないものの、 DVSでは、ダチ ョウ産業は揺らん期にあり、 飼養技術や流通の仕組みが確立されていない事から、 投資については、 慎重に対処するよう呼びかけている。
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