トウモロコシの増産に課題山積 (インドネシア)



● トウモロコシの輸入が急増

 インドネシアでは、 鶏肉など畜産物生産のための飼料用需要の増大により、 ト ウモロコシに対する需要が急拡大している一方で、 国内生産が伸び悩んでいるこ とから、 トウモロコシの輸入量が急増している。  トウモロコシの輸入量は、 93年にはわずか50万トンであったものが、 94年以降、 100万トン前後に急増し、 以後もその水準を維持している。

● トウモロコシの増産計画と流通問題

 飼料の国外依存度が高まることを警戒した政府は、 昨年8月、 トウモロコシの 増産計画を明らかにした。 この計画は、 作付面積を15%拡大するとともに、 ハイ ブリッドや高収品種を活用することにより、 トウモロコシの増産を目指すもので ある。  この計画により、 国内生産量は確実に拡大している。 しかし、 その一方で、 国 産トウモロコシには流通上の問題が生じている。 集荷、 販売などの生産者と需要 者の仲立ちは、 コメなどの農産物の購入、 販売や組合員に対する金融活動を行う、 村落共同体 (KUD) が行っている。 しかし、 1)コメの流通を行っているKUDもトウ モロコシの集荷、 貯蔵、 販売に関するノウハウを持っていないところが多い、 2) 収穫後の貯蔵設備が充分に整備されていないことから、 国産トウモロコシの一部 に品質の劣化がみられる、 といった問題が生じている。 このため、 国内の需要者 からは、 国産トウモロコシについての不満の声が上がっており、 政府は、 同計画 の流通方法の見直しを迫られている。

● 政府の飼料業界への対応に注目

 一方、 トウモロコシの大口需要者である飼料業界は、 国際価格が落ち着いてき ていることもあり、 品質等が不安定な国産を嫌って、 輸入品を求める傾向が強い。 6月までに、 既に50万トンが輸入されたと推定されており、 年末までには少なく とも昨年並の100万トンの輸入が行われるとの見方もある。  こうした動きに対し、 同国政府は、 トウモロコシの輸入関税の引き上げを示唆 するなど、 飼料業界を強く牽制している。  今月から、 同国トウモロコシ生産の3割を占める東ジャワの収穫期が始まり、 各所で刈り入れが始められている。 今年の同地域のトウモロコシの作柄、 収穫量 とともに、 流通面の諸問題に対する政府の対応が注目されている。
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