アルゼンチン産牛肉の輸入を解禁 (米国)



● 非加熱処理牛肉の輸入を解禁

 米農務省 (USDA) は、 6月26日、 アルゼンチン産の生鮮、 冷蔵および冷凍牛肉 (非加熱処理牛肉) の輸入を、 8月25日から解禁することを官報で公示した。  米国は、 これまで、 アルゼンチン国内での口蹄疫の存在を理由に、 加熱処理等 を行った煮沸肉などの加工済みの牛肉製品についてしか輸入を認めていなかった。

● 隣国ウルグアイに続く解禁

 今回の非加熱処理牛肉の解禁は、 近年では、 95年のウルグアイに続くものであ る。 米国は、 ウルグアイで、 90年以来口蹄疫の発生がなく、 かつ、 94年6月から はワクチンの接種も行われなくなったことから、 95年11月には、 同国からの非加 熱処理牛肉の輸入を解禁した。  一方、 アルゼンチンは、 94年を最後に口蹄疫の発生がみられなくなったことか ら、 非加熱処理牛肉の解禁を早期に承認するよう、 米国に対し要請していたとこ ろである。 しかし、 アルゼンチンにおいては、 一部の地域において、 口蹄疫のワ クチン接種が行われていることから、 非加熱処理牛肉の輸入解禁が、 今日まで遅 れていた。

● 輸入には厳しい検疫条件を付与

 こうした情勢を踏まえて今回改正された、 アルゼンチンの取り扱いに関する最 終規則によれば、 同国を1年以上口蹄疫の発生していない国として認定するとと もに、 所定の衛生検疫条件の下で、 アルゼンチンからの非加熱処理牛肉の輸入を 認めることとした。  今回、 米国に輸入許可されるものは、 1)アルゼンチン国内で生産された牛肉で あること、 2)当該牛が飼育されていた期間中に口蹄疫が発生しなかった農場から の牛で、 かつ、 他の家畜と接触しないでと畜場へ搬送されてと畜された牛から生 産された牛肉であること、 3)口蹄疫のワクチン接種を行った牛から生産された牛 肉ではないこと、 4)と畜後、 最低36時間、 4〜10度で熟成保管し、 ロインを形成 する筋肉のPhが5.8以下になった牛枝肉から生産された牛肉であること、5)アルゼ ンチン政府が衛生基準を満たす旨の検査証明書を発行することなど、 米国への口 蹄疫侵入のリスクを最小限に抑えるための条件が定められている。

● アルゼンチンは、 牛肉輸出の拡大に期待

 一方、 米国は、 ウルグアイ・ラウンド合意において、 牛肉について65万7千ト ンの関税割当枠を設けるとともに、 ウルグアイおよびアルゼンチンに対し、 口蹄 疫に関する衛生問題が解決することを条件に、 年間2万トンの関税割当枠を追加 設定している。  こうしたことから、 アルゼンチン政府は、 今回の米国への輸出解禁を通じて実 績を積むことが、 他の国への輸出解禁に好影響を与えるのではないかとの希望的 な見方をしている。 このため、 非加熱処理牛肉の輸出を促進する目的の委員会の 設置法案を準備する等、 輸出拡大に向けて動き出しており、 米国による輸入解禁 の効果に大きな期待を膨らませている。
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