豪州連邦政府、 包括農業政策を発表




● 包括的な農業政策パッケージを発表

 豪州連邦政府は、 かねてより各種農業・農村政策の見直しを検討してきたが、 
先頃、 これらを取りまとめた形で、 総額5億豪ドルの包括的な政策パッケージを
発表した。 

  「農業−躍進する豪州」 (Agriculture-Advancing Australia:AAA) と名づけら
れた包括的農業政策パッケージは、 (1) 農家個々の利益の (経済・価格)変動か
らの救済、 (2) 農家への適切な福祉救済策の確保、 (3) 農家再建を前向きに進
める奨励策の提供、 (4) 農村地帯における社会・経済発展の促進、などを主要目
的としている。 


● 具体的な対策は主に4つ

 具体的には、 次のような対策がメインとなっている。 

・農場管理貯金制度

 従来の所得平等貯金及び農場管理債権制度に代わり制定されたもので、 所得黒
字を貯金した場合、 預け入れ年度は税控除の対象となり、 引き出され課税所得に
加えられた際にだけ課税される、 農家の財政リスク管理制度。 

・農業経営改善プログラム

 市場ニーズ、 価格変動等にも的確に対応し、 安定した経営が可能となるよう、 
個々の農家が、 これに必要な経営管理技術の習得、 改善を行う際の支援制度。 

・農家再出発計画

 営農を継続する意志はあるものの、 財政危機に陥った (資産状況から、 もはや
融資を受けられない) 農家に対する所得補助 (生活保護的なもので最長12か月) 、 
離農・再出発する者への (離農・再就職) 奨励金などの制度。 

・例外環境支援

 これまでの、 干ばつ救済支払いに代わる制度で、 干ばつだけでなく異常な環境
下で財政的に困難に陥った農家に対し、 借入金に対する利子補給を行うもの。 

 このほかにも、 従来、 高齢者が農場を後継者に贈与し引退した場合、 一定期間
を経過しなければ老齢者年金の受給資格が得られなかったものが、 即時に受給資
格を得られるようにするなど、 世代交代の円滑化対策も盛り込まれている。 


● 従来の制度に比べ改善

 今回の発表に当たり、 アンダーソン第一次産業大臣は、AAAは、 農業が直面する
幾多の困難を克服するとともに、 急速に拡大するアジア市場や貿易障壁の緩和に
よって生じた市場参入機会を確保していくため、 より生産性の高い農業分野を構
築することをねらいとしていると述べている。 AAAは、従来からの農業・農村政策
を見直し・再編したもので、 インパクトのある新しい政策は見当たらないものの、 
その細部を見れば、 農家・農村社会にとって従来の制度に比べ、 よりきめの細か
いものへと改善されているように思われる。 



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