◇絵でみる需給動向◇
96年1月から10月までのブロイラー輸出量 (可食重量ベース、 骨付き) は、 前 年同期に比べて17.0%増の166万6千トンとなった。 ブロイラーの輸出は、 80年代以降、 一貫して増加傾向にあり、 90年代に入って からは特にその伸び率は著しくなっている。
そうした中で、 近年では、 輸出の拡大に伴い、 特定の輸出相手国へのシェアの 集中化傾向が見られる。 特にロシア向けは、 94年以降、 前年水準を大幅に上回 って推移しており、 最近では、 米国のブロイラー輸出のおよそ4割を占めるなど、 米国の輸出市場の首位の座を、 ほぼ不動のものにしている。 96年1月から10月までのロシア向け輸出は、 68万7千トンで、 前年同期比31.7 %の大幅な増加を示すとともに、 輸出全体の41.3%を占めた。
これは、 ロシアが、 経済の破綻による食肉供給の減少や外貨事情の悪化から、 安価なたんぱく源を求めており、 低価格で供給が安定している米国産ブロイラー に依存せざるを得なくなっている事情を反映したものである (また米国側から見 ても、 国内ではむね肉を中心に消費されるため、 過剰となるもも肉の大口需要を 見つけることができた)。
こうした好調な輸出を反映して、 ブロイラーの卸売価格は、 堅調に推移してお り、 中でも主要輸出品目であるもも肉価格は、 高値が続いている。 もも肉 (ホー ル、 北東部) の価格は、 輸入が特に急増した94年に、 前年比34.4%と大幅に上昇 して、 49.2セント/ポンドとなった後、 95年には、 前年比7.3%高の52.8セント/ ポンド、 96年にも、 前年比7.8%高の56.9セント/ポンドを上昇を続けている。
しかしながら、 今後、 ロシアの経済事情が好転局面に入るとすれば、 まずブロ イラー生産が回復すると分析する関係者もおり、 年々増加しているロシア向け輸 出も、 将来的には、 減少に転じるのではないかと懸念する見方がある。 また、 一 国に集中した取引が継続すると、 昨年3月にロシアが輸入停止措置を行ったとき のように、 大きな影響を被る危険性が高くなる。 こうしたことから、 米国は、 経済が安定してきたメキシコや、 近年輸入が急増 している中国を、 今後の有望な輸出市場として注目するなど、 輸出市場の多極化 を目指している。
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