世界の飼料穀物の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○米国の大豆在庫率が24年ぶりの低水準に


 

●96/97年度末の在庫率は6.4%



 米国の大豆需給がひっ迫すると見込まれている。 米農務省 (USDA) が1月に発
表した需給予測では、 96/97年度末 (97年8月末) の在庫率が下方修正され、 前
年度を1.5ポイント下回る6.4%になるとされた。 これは、 米国の大豆需給が大幅
にひっ迫して輸出禁止措置が発動された72/73年度 (期末在庫率5%) 以来、 24
年ぶりの低水準となる。 この背景には、 前年度に、 不作に伴って在庫が大幅に減
少したことがある。 96/97年度には生産量が回復するものの、 油脂原料向け等の
国内需要や日本向け等の輸出需要が増加するため、 在庫のさらなる減少が見込ま
れている。

米国の大豆需給の推移

 資料:USDA「World Market and Trade」
  注:期末在庫率=期末在庫量/(消費量+輸出量)×100

●主要3カ国で世界の70%以上を生産



 米国は、 世界の大豆生産量 (120〜130百万トン) の約半分を生産している。 ち
なみに、 米国に次ぐ大豆生産国はブラジル及びアルゼンチンであり、 この3カ国
で世界の75〜80%の大豆を生産していることになる。 ただし、 貿易面では、 米国
が世界の大豆輸出量 (30〜33百万トン) の約7割という圧倒的なシェアを占めて
おり、 大豆の国際需給に非常に強い影響を及ぼしている。 

世界の大豆生産/消費/輸出量(96/97年度予測)

 資料:USDA「World Market and Trade」

●大豆価格は強含みで推移



 シカゴ商品取引市場 (CBoT) における大豆先物価格は、 昨年7月、 米国主産地
の作付け遅延の影響により、 1ブッシェル当たり8.41ドルと88年の大干ばつ以来
の高値を記録したが、 その後、 懸念された霜害もなく収穫が増加したため、 10月
には同6ドル台の半ばまで低下するなど、 乱高下を続けた。 

 その後は米国内外の堅調な需要に支えられて同7ドル前後で推移していたが、 
1月のUSDAの需給予測の発表と前後して急上昇し、 2月初旬時点では7ドル台半
ばで強含みに推移している。 

 USDAの予測では、 本年度は南米、 特にブラジルの大豆生産が大幅に増加すると
見込まれているものの、 生産量第4位の中国が輸入国に転じていることもあって、 
米国における需給のひっ迫が国際取引に影響を及ぼすことは確実であり、 今後の
国際価格の動向が注目されている。

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