豪州の牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○チーズの国内消費量が顕著に増加


●年率5%のペースで拡大



 95/96年度 (95年7月〜96年6月) の国内チーズ消費量は、 前年度を5%上回
る19万3千トン (製品ベース) であった。 

 チーズの国内消費量は、 ここ5年間、 年率5%増と顕著な伸びを維持している。 
95/96年度には、 全体の約7割がスーパーや小売店での販売を通じて、 残りの約
3割はファストフードなどの外食部門を通じて消費されたが、 特にピザをはじめ
とする外食部門での消費拡大が、 全体の消費を押し上げている (図1)。 

 なお、 豪州では、 乳製品全体でみると、 国内で生産される数量の大半が輸出に
向けられるが、 チーズに限ってみれば、 国内向けが約6割と、 輸出向けの割合を
上回っており、 国内市場の重要性が他の乳製品に比べて高い。 現在、 国内市場規
模は、 年間10億豪ドル (約940億円) を超えるとみられている。 

●国内消費量の2割弱を輸入



 国内消費量の内訳をみると、 95/96年度には、 全体の17%に当たる3万3千ト
ンが輸入品であった。 

 輸入相手国は、 ヨーロッパ諸国、 およびニュージーランドとなっている。 90/
91年度 (総輸入量2万3千トン、 国内消費量全体に占める割合は15%) には、 ヨ
ーロッパ産とニュージーランド産の比率はほぼ1対1であったが、 ニュージーラ
ンドからの輸入量はその後急増し、 95/96年度には、 輸入量全体の3分の2を占
めるまでになった (図2)。 
 この背景には、 90年に締結された豪州・ニュージーランド経済緊密化協定によ
って、 両国間の貿易が完全に自由化されたことがある。 ニュージーランド産チー
ズは、 豪州産に対して価格競争力を持っているため、 今後も、 豪州国内のチーズ
市場が拡大するにつれて、 同国からの輸入が増加するものと考えられる。

●国産を消費者にアピール



 豪州の酪農乳業界は、 成長が期待される国内チーズ市場において、 このままで
はシェアをニュージーランドに奪われかねないと危機感を強めている。 こうした
中、 豪州酪農庁 (ADC) は、 1千万豪ドル (約9億4千万円) を投じて、 国産チ
ーズの販売促進キャンペーンに乗り出すことになった。 

 同キャンペーンでは、 2月から6月までの5ヶ月間、 テレビコマーシャル、 新
聞、 雑誌の紙面を利用した宣伝や、 公共の交通機関でのポスター掲載などが行わ
れる予定である。 また、 シドニー、 メルボルンなど大都市における各種イベント
への参加を通じて、 国産チーズの品質の高さやおいしさを消費者に強くアピール
してゆくものとみられる。

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