◇絵でみる需給動向◇
ニュージーランドでは、 90年以降、 牛群検定の普及率が急速に高まっている。 家畜改良公社によると、 95/96年度には、 酪農経営戸数では全体の85.6%に当 たる1万2,620戸、 また、 乳牛頭数では全体の88.3%に当たる259万1,958頭が検 定に参加し、 ともに過去最高を記録した (図1)。
ニュージーランドの酪農経営は、 放牧主体であり、 草地条件や粗飼料の供給が 気象状態に左右されるため、 検定牛の1頭当たり乳量は年による変動が大きい。 しかしながら、 全体的には改良が進展している傾向がうかがえる。 94/95年度には、 干ばつによって、 平均搾乳日数が平年ベースより2週間短か ったことなどが影響し、 1頭当たり乳量は前年度比でかなり減少した。 これに対 して、 95/96年度は、 天候に恵まれたことなどから、 前年度を8%近く上回る3, 501リットルとなり、 過去最高を記録した93/94年度 (3,560リットル) に次ぐ成 績となった (図2)。
一方、 乳成分をみると、 95/96年度は平均乳脂肪率4.72% (1頭当たり年間16 4キロ)、 また平均乳たんぱく率3.60% (同126キロ) であった。 乳成分率も気象 条件の影響を受けるが、 乳脂肪率は、 過去20年以上にわたって、 4.7〜4.8%台で 安定的に推移している。 また、 乳たんぱく率も、 統計が始まった88/89年度から の7年間に、 3.6%前後の水準で同じく安定的に推移している。 また、 乳質の改善が進展しており、 1ミリリットル当たりの体細胞数は、 過去 5年間に顕著な減少傾向を示している。 95/96年度には21万個と、 前年度に続い て過去最低となった。 こうした背景には、 乳質の改善が世界的にみても酪農経営 の重要な課題となっており、 飼養管理技術を向上させるなどの努力が積極的に行 われていることがある。
ちなみに、 ニュージーランドで飼養されている乳牛の品種についてみると、 も ともと同国では、 乳量は少ないが、 乳脂肪率の高いジャージー種が一般的であっ た。 ところが、 60年代後半にホルスタイン種の導入が急速に普及し、 この結果、 70年代以降は、 ホルスタイン種が主流となった。 80年代以降も、 ホルスタイン種 の割合は増加傾向を維持し、 95/96年度には全体の57%がホルスタイン種、 さら に同17%がホルスタインとジャージーの交雑種となっている (図3)。 60年代から70年代にかけて、 ジャージー種からホルスタイン種への移行が急速 に行われた要因としては、 乳成分の生産量を増やして経営の収益性を高める上で、 ホルスタイン種が有利であることなどが挙げられる。
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