米国の豚肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○豚の飼養頭数が減少傾向



●飼料価格の高騰が原因



 米農務省 (USDA) によると、 96年12月1日時点の豚の総飼養頭数は、 前年同期
と比べ3.6%減少して、 5千620万頭となり、 同時点の飼養頭数としては、 ここ10
年で5番目に低い水準となった。 

 これは、 肥育豚価格が比較的堅調に推移したにもかかわらず、 95年後半からの
飼料価格の高騰による収益性の低下により養豚経営者の生産意欲が減退したこと
によるものである。

●繁殖豚の頭数は過去最低



 飼養頭数の内訳をみると、 生産意欲の減退を背景として、 繁殖豚頭数が前年同
期比2.6%減少の666万頭となり、 同時期では、 過去最低の頭数を記録した。 また、 
95年1月から96年11月までの子豚の生産頭数が前年同期比で3.6%減少したほか、 
肥育豚頭数も同様に減少し、 前年同期比3.7%減少の4千951万頭となった。

豚の飼養頭数の推移(12月1日)

 資料:USDA「Hogs and Pigs」

●分娩頭数の減少を1腹当たりの産子数の増加がカバー



 一方、 1腹当たりの平均産子数は、 全飼養頭数の約5割を占める2千頭を超え
る大規模経営を中心として、 前年に比べ増加し、 記録を更新した。 

 分娩豚頭数は、 とう汰や種付け意欲の減退により、 95年12月から96年11月で前
年同期を5.6%下回ったが、 1腹当たりの産子数が前年同期比2%増加し8.49頭
となったことから、 子豚の生産頭数は3.6%の減少にとどまった。

子豚の生産頭数

 注:12月は、前年
資料:USDA「Hogs and Pigs」

●分娩予定頭数の前年割れは期待外れ



 また、 今後の分娩予定頭数については、 96年12月から97年2月の分娩予定頭数
は前年同期比0.7%増とわずかに増加したものの、 3月から5月の分娩予定頭数
は前年同期比2.4%減とマイナスに転じている。 肉豚関係者の間では、 96年秋以
降の飼料価格の低下と好調な肥育豚価格により、 前年同期比3%から8%は増加
すると予想されていたにもかかわらず、 これとは逆の結果となり、 驚きをもって
受け止められている。 

 この結果、 肉豚生産頭数、 引いては豚肉生産量は、 97年を通じて減少傾向で推
移するものと、 関係者は見込んでいる。 

分娩予定頭数

 注:12月は、前年
資料:USDA「Hogs and Pigs」

●中小経営の多いアイオワ、 ミネソタ州は、 飼養頭数減少



 飼養頭数の上位の州を見ると、 アイオワ州が1,220万頭 (前年同期比9%減) 、 
ノースカロライナ州が930万頭 (同13%増) 、 ミネソタ州が485万頭 (同2%減) 
となっている。 

 これは、 (1)伝統的に中小経営が中心のアイオワやミネソタ州では、 農家の生
産意欲の減退や後継者不足等により飼養農家が減少し、 飼養頭数が前年に比べ減
少したのに対して、 (2)パッカーを中心にインテグレーションによる大規模経営
が進んでいるノースカロライナ州では生産が拡大していることを反映したもので
ある。 また、 これらのパッカーが新たに進出し始めたカンサス、 オクラホマ、 コ
ロラド、 ユタ州でも飼養頭数が増加している。

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