フランス、 新たな牛肉品質表示制度を導入へ




●品質表示で、 消費回復を狙う



 フランス牛肉関係業界は、 牛海綿状脳症 (BSE) 問題を背景とした牛肉の消費
減退への対策として、 新たに牛肉品質表示制度を導入することを発表した。 この
制度の対象となるのは、 フランス国内で生まれ、 肥育、 と畜されたものに限られ
るとされており、 牛肉の出処を明確に表示することによって、 消費者の牛肉への
信頼を回復することを狙ったものとみられる。 

 フランスの牛肉業界では、 昨年来、 牛肉に 「FV (フランス産牛肉)」 マークを
添付し、 自国産牛肉のPRを行ってきたが、 今回導入される品質表示制度では、 新
たに 「CQC (品質基準管理)」 のロゴマークが添付されることになる。 

●牛肉の由来をより明確に



 今までの 「FV」 マークは、 販売される牛肉がフランス産であるというアピール
を主眼としていた。 今回の発表によると、 新制度では、 ブランドをはじめ、 乳用
種と肉用種の区別や、 若雄牛、 去勢牛、 未経産牛、 経産牛 (5歳未満、 以上) の
区別についても併せて表示されることになっている。 なお、 これらの品質表示は、 
同国のラベル・ルージュ制度と同様に、 実際には各業界団体の管理下で実施され
る模様である。 

 また、 新制度の導入に当たっては、 消費者の認知度を高めるため、 テレビや雑
誌などのメディアを通じた各種のキャンペーンが予定されており、 これらを含む
全体の予算規模は、 97年だけで7千万フランに上ると発表されている。 

●遅延するEUレベルでの制度の採用



 EUレベルにおいても、 既に昨年11月に、 今回のフランスの仕組みと類似の制度
である 「牛肉及び牛肉製品のラベリングに関する理事会規則」 が提案されている
が、 今年1月の農相理事会でも、 採択が見送られた。 これは、 フランスやドイツ
が、 同規則案の実施について、 任意ではなく、 義務化を求めていることに反発が
あることや、 同規則案と一対をなす個体管理登録識別制度の規則案について、 加
盟各国の同意が得られないことによる。 

 このような状況から、 フランスは、 新制度の導入に当たって、 とりあえずは業
界団体の合意によって進めるとしているが、 今後、 EU段階で、 統一市場との観点
から、 どのような調整が行われるのか注目されるところである。


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