豪州農業資源経済局 (ABARE) によると、 94/95年の豪州の肉用牛専業経営者 の平均年齢は55歳と、 基幹的な農業部門 (以下、 基幹農業という) の中では、 最 も高齢となっている。 肉用牛専業経営者の平均年齢は、 70年代後半には50歳であったが、 80年代に入 って高齢化が進み、 90年代以降は、 ほぼ横ばいの状況が続いている。 経営者の高 齢化傾向は、 他の基幹農業についても同様であるが、 肉用牛専業経営者は、 他の 基幹農業と比べ、 60歳以上の高齢者層の割合が高いことが特徴となっている (表)。 基幹農業における経営者の平均年齢
経営分類 | 肉牛専業 | 穀物専業 | 羊専業 | 羊/肉牛 | 穀物/畜産 | 全 体 |
平均年齢 (歳) | 55 | 48 | 53 | 54 | 52 | 53 |
25〜40歳 (%) 40〜50 50〜60 60〜75 75歳以上 |
12 22 28 31 7 |
26 28 25 19 2 |
12 37 20 29 2 |
5 33 32 24 5 |
14 32 31 20 4 |
14 29 27 25 5 |
資料:ABARE
一方、 肉用牛専業経営者の平均年齢を州別にみると、 最も低い北部準州の48歳 から、 最も高いビクトリア州の58歳まで、 かなりの開きがみられる。 州別にみた場合の平均年齢の格差の背景には、 飼養規模や経営タイプの違いな どがあると考えられる。 例えば、 豪州北部の北部準州では、 大規模な企業経営が 多く、 1戸当たりの飼養規模も7千頭と、 他州と比較して圧倒的に大きい。 反対 に、 南部のビクトリア州では、 家族経営が多く、 1戸当たり飼養規模も230頭と 最も小さくなっている。
なお、 現在、 農業経営において、 コンピューターの導入が盛んとなっているが、 肉用牛専業経営でのコンピューター普及率は、 基幹農業全体の平均である31%を 大きく下回る24%と、 最低の水準にとどまっている。 ABAREは、 こうした普及率 の低さの背景には、 経営者の高齢化があると分析しているが、 将来的に、 経営の 効率化にはコンピューターの利用はますます重要とみられるため、 肉用牛専業経 営においては、 その普及率の向上が大きな課題となっている。
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