食品安全対策事業を実施へ (米国)




●大統領が食品安全対策の強化を表明



 1月20日から2期目を迎えたクリントン大統領は、 同25日、 ラジオ演説で、 政
府の食品由来の病気予防に対する取り組みについて語った。 同大統領は、 この中
で、 病気予防対策の一環として早期警戒体制を充実させるとともに、 その被害の
拡大を防止する事業の実施について、 必要な予算措置を議会に求めることを明ら
かにした。

●3つの具体策を提示



 大統領は、 今回の演説の中で、 食品由来の病気の拡大防止のため、 次の三つの
具体的な対策を示した。 

 第1は、 全国レベルでの食品由来の病気に対する早期警戒システムの充実・強
化である。 現在、 米国では、 連邦政府機関である疾病予防センター (CDC)、 食品
医薬品局 (FDA) 及び農務省 (USDA) により、 全国5カ所に病原性大腸菌やサル
モネラ菌などによる食中毒の発生を監視する機関が設置されている。 しかし、 今
後は、 これを8カ所に拡大し、 州の衛生監視機関などと連携して、 病気の発生状
況の監視を強化するとともに、 速やかな情報収集や病気の拡大防止対策を効率的
に行うとしている。 

 第2は、 病気の発生源の追跡や発生防止のため、 病理学的情報の集積などを行
うDNA識別機関を設立し、 病原菌の識別・特定を行うことである。 さらに、 その
上で、 その情報伝達ネットワークを確立し、 全米の病院や公共保健機関などに病
原菌などに関する情報を速やかに伝達するとしている。 

 第3は、 政府関連機関が地域社会、 農家、 食品関連企業、 消費者団体と協力し
て、 食品由来の病気に関する研究と一般市民への教育を進め、 食品安全対策を強
化することである。 これについては、 関係省庁に対し、 政府機関が民間部門との
間でどのような形の協力体制を構築できるかについて、 90日以内に報告を提出す
るよう提示した。 

●4,300万ドルの予算配分を要求



 これらの事業に必要とされる4,300万ドルの資金は、 2月の初めに議会に対し
て正式に予算措置の要求がなされることになっている。 大統領は、 演説の最後に、 
「予算均衡が求められる中でも、 食品安全対策に多額の予算を配分することは、わ
れわれの家族や子供たちに安全な食品を豊富に供給するという観点に立てば、 非
常に価値のあることである」 として、 その必要性を強く訴えた。 


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