肉牛取引制限に関する規則の制定を申請 (米国)





 西部地域の牧場主・農家、 中小企業経営者などで組織される西部地域資源協会
連盟 (WORC) は、 米農務省 (USDA) に対し、 食肉加工処理業者 (パッカー) の肉
牛取引に一定の制限を設ける規則の制定を求める申請を行った。 

 この申請は、 「パッカー・ストックヤード法」 の手続きに基づくもので、 (1)出
荷時の取引価格が明示されない事前契約によると畜向け肉牛の売買を禁止、 (2)
パッカーが公開市場における販売以外の目的で、 肉牛を飼養することの禁止、 と
なっている。 

 WORCは、 主として天然資源や家族経営農業を維持することなどを目的とした活
動を行っているが、 今回の申請の理由については、 「事前契約に基づく売買やパ
ッカー所有のと畜牛の出荷により、 恣意的な価格操作が行われており、 そのこと
が肉牛価格低落の原因となっているため」 と説明している。 

●USDAはこの問題に対する幅広い意見を期待



 この申請を受けたUSDAは、 1月14日付けで、 この規則制定に関する関係者の意
見を求める旨の官報公告を行った。 

 今回の意見聴取期間は3カ月間とされており、 4月15日がその期限となってい
る。 グリックマン農務長官は、 「USDAは、 申請者が提起しているパッカーの寡占
化 (に伴う価格影響力の拡大) 問題の重要性を認識しており、 この案件について
十分な検討を行うためにも、 広い範囲から意見が寄せられることを期待している」 
と述べている。 

 またWORCの申請内容は、 自由な商取引に一定の期限を設ける内容となっている
ことから、 事業活動に制約が加えられることになるパッカー側から、 どのような
意見が提出されるかについても注目が集まっている。

●パッカーの寡占化問題に対する取組みの一環として位置付け



 パッカーの寡占化問題に関しては、 95年の初めごろから、 肉牛取引価格の低落
を背景に、 肉牛生産者らからその弊害の是正を求める声が上がっていた。 USDAは、 
96年2月に、 議会からの要求に応じて寡占化などに関する報告を公表し、 さらに、 
実体を究明するため、 諮問委員会を設置して調査を実施した後、 96年6月に同委
員会の報告書を公表している。 

 当該報告書においては、 寡占化が進んでいる事態については認められたものの、 
寡占化と肉牛価格低落との因果関係を認めるまでには至らなかった。 しかしなが
ら、 公正な肉牛取引を確保するための対策として、 反トラスト法に基づく違法行
為に対する監視の強化、 貿易取引を含む各種取引形態別情報の公表体制の充実な
どが提言された。 

 これらの提言に対してUSDAは、 これまで、 肉牛取引情報の公表などに取り組ん
でおり、 今回の申請に前向きに取り組む姿勢も、 これらの一連の対策の一環と考
えられている。 


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