前年を上回る輸出が続く
米農務省 (USDA) によると、 96年1月から10月までの牛肉総輸出量は、 日
本及びメキシコへの輸出量が前年同期と比べて、 それぞれ6.8%、 72.2%
増加したことから、 合計で71万9千トンとなり、 前年同期比で6.6%、 4万
5千トンの増加となった。
日本向けの増加で、 5月までは好調な輸出
輸出量を月別にみると、 5月までの輸入量は、 前年同月を13.6%から58.
5%上回って推移した。 これは、 牛海面状脳症 (BSE) によるイメージ低下にも
かかわらず、 日本の需要者が輸入関税率の低下を見込んだ手当てを行ったことや、
経済状態が回復したメキシコへの輸出が増加したためと見られている。 特に、 4
月の輸出量は9万4千トンとなり、 単月の輸出量では日本の牛肉自由化以降で過
去最高を記録した。 これは、 輸出量の50%を超えるシェアを占める日本への輸
出量が、 輸入関税率の低下により、 前年同月を60%も上回ったことが大きな要
因となっている。
6月以降は、 前年を下回る
一方、 6月以降の輸出量は、 前年同月を5.1%から16.2%下回って推移
した。 これは、 それまで輸出の増加に大きく貢献していた日本が、 7月以降、 輸
入の緊急措置 (セーフガード) を発動したことや、 夏場に猛威を奮った病原性大
腸菌O−157問題及びBSE問題の影響で輸入を減少させたこと、 また、 韓国への
輸出がBSE問題によって前年を下回ったことによるものである。
アジア地域への輸出の減少は、 米国には驚異
日本や韓国などアジア地域は、 米国にとって最重要輸出先であり、 この地域へ
の輸出の減少は、 国内の牛肉価格の低迷が続く中で、 牛肉関係者の間では深刻に
受け止められている。 また、 牛肉は、 食肉全体での比重が高いことから、 これら
の重要地域への輸出の回復は、 今後の米国内の食肉マーケットの動向に大きな影
響を与えるとも考えられる。
輸出拡大を目指し、 安全性を訴えるキャンペーン実施
こうした中、 米国食肉輸出連合会 (USMEF) は、 病原性大腸菌O−157問題の
影響で日本での輸入需要が停滞しているとの認識から、 米国産食肉の安全性を広
く流通業者や消費者に強調することでその消費拡大を目指すキャンペーンを12
月から展開している。 新聞広告やテレビによるコマーシャルを始め、 全国の量販
店や専門店でのフェアーを通じて冊子を配布し、 米国産牛肉の衛生管理が徹底さ
れていることを紹介している。
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