米国の牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○乳製品、 生乳価格が低下


主要乳製品の卸売価格が10月以降下降傾向で推移


 バター及びチーズの卸売価格は、 96年に入ってから概ね前年同月を上回る水 準で推移してきた。 しかし、 9月に最高値を記録した後、 10月以降は弱含みと なり、 年末には前年同月を下回る水準となった。

チーズの価格動向


 チーズの指標価格となるチェダーチーズの卸売価格 (ウィスコンシン地区、 4 0ポンドブロックのF. O. B. 価格) は、 96年年初来、 9月までは、 前年同 月を上回る水準にあって、 かつ、 上昇傾向で推移した。 これは、 消費者の購買意 欲の高まりや、 ピザやハンバーグ等のファスト・フード業界の業務用の引き合い の増加、 また、 生乳生産量の減少に伴い先行の原料乳確保に不透明感が広がる中 で、 卸売業者等が販売用在庫の積み増しに動いたことなどを反映したものである。  しかし、 当該卸売価格は、 9月に過去最高価格を記録したものの、 生乳生産の 回復による生産増がもたらした在庫の増加により、 10月以降は急落した。 そし て12月には、 前年同月を12. 9%下回り、 1ドル26セントとなった。

バターの価格動向


 バターの卸売価格 (シカゴ地区、 グレードA) は、 96年年初来、 10月まで は、 ほぼ前年同月を大きく上回る水準で推移した。 これは、 他の乳製品との競合 で原料乳価格が上昇したことによるものと考えられる。 しかし、 チーズと同様に、 9月に過去最高価格を記録した後は下降に転じ、 11月以降は96年始めの水準 まで低下した。 ちなみに、 11月は前年同月と比べると28.4%の大幅な減少 となった。

生乳の農家販売価格も急落


 主要乳製品の卸売価格が96年10月以降に下落したことに伴って、 生乳の農 家販売価格も、 10月以来、 値下がりが続いている。 これに対して、 生産者団体 は、 生乳価格の安定を政府に要求していたが、 USDAは、 この要求に応じて、 学校 給食用のチーズの買い上げに加えて、 97年1月7日、 生乳の農家販売価格の安 定を図るための次の施策を発表した。

食料援助に乳製品を活用


(1) 国内の生活困窮者への食料援助用として500万ドル相当のチーズを買上   げ (2) 民間団体と協力し、 海外の食料援助用として乳製品を活用する (3) 乳製品輸出奨励計画 (DEIP) による乳製品の輸出の促進  しかし、 グリックマン農務長官は、 「生乳価格を意図的に一定レベルに維持す ることは、 牛乳・乳製品の小売価格の値上がりを招くなど、 (農家販売価格を支 持するという) 政策の意図とは反する結果をもたらすこともある。 」 と懸念を表 明した。
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