台湾の豚肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○肉豚の価格及び需給政策動向


肉豚価格、 大幅下落から12月には反発傾向に


 台湾省政府農林庁の発表によると、 96年7月のわが国の豚肉輸入緊急措置 (セーフガード) を契機として、 継続的な低落傾向を示している肉豚価格は、 1 1月にはさらに下落傾向を強め、 対前月比18.1%低下の4,233元 (生体 100kg当り:約17千円) にまで下げた。 この月間下落幅は近年では最大のも のとなったばかりか、 対前年比でみても27. 0%の大幅な下落となっている。  しかしながら、 その後12月に入ってから、 卸売価格は、 約半年ぶりに反発に 転ずる気配を見せており、 その月末の現地の速報値は、 11月平均より6〜7% 高い4,500元前後まで上昇している。 一方、 肉豚の供給面についてみると、 代表的な3市場 (台北縣・台中市・屏東縣) の取引頭数は12月は11月と比較 すると約3%増加している。 また、 台湾では、 季節的需要の一つのヤマは2月の 春節の前後に来ることから、 この12月の価格 「反発」 の背景の一つは、 11月 までの下げ幅があまりにも急激であったことに対して、 市場が自律的な反発傾向 を示したものと考えられる。  なお、 4,500元前後という水準は、 現下の肉豚生産コストに近い水準であ り、 政府が当面の目標とする5,000元にはまだ及ばない。 政府は価格低落に 対処して、 肉豚の出荷抑制を指導しているが、 3市場のデータからは12月には まだその効果が現れておらず、 価格回復 「目標」 である5,000元を超えるた めには、 その浸透が課題となると考えられる。

経営対策としては価格補てん政策を重視


 行政院農業委員会 (農業省に相当) は、 継続的な市況低迷の打開策として、 昨 年11月に六項目にわたる生産・流通対策を打ち出したが、 その中で台湾省農会 (農協に類似の組織) 加盟の養豚農家に対する価格補てん措置が含まれている。 これは、 市場の平均価格が、 生産コストを基に計算された基準価格を下回った場 合、 一定の補てんが行われるという制度であるが、 政府は養豚農家に対し、 早急 にこれに加入することを呼びかけている。 補てんを受けるためには、 農家は農会 と契約を締結し、 一頭当り40元 (約160円) の積立金を納付することとされ ており、 飼養頭数が200頭以下の農家は優先的に契約を行うことができる。 な お、 農会はその対象豚を優先的に卸売市場へ供給する予定とされている。  また、 さらに、 この価格補てん措置には、 契約状況に応じた参加奨励金が支払 われることになっており、 この措置を重視する政府の姿勢が浮き彫りとなってい る。
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