米国の豚肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○豚肉の輸出動向


前年同期比で22.1%の増加


 米農務省 (USDA) によると、 96年1月から10月までの豚肉総輸出量は、 5 月まで日本及びカナダへの輸出が前年同期を大きく上回ったことから、 6月以降 は低調となったにもかかわらず、 前年同期比で22.1%、 6万5千トン増加し、 36万トンとなった。

5月までは日本、 カナダ向けの輸出が好調


 月別の輸出量を見ると、 5月までの輸出量は、 前年同月を6.5%から134. 7%上回って推移した。 これは、 日本の需要者が、 4月から豚肉の基準輸入価格 が引き下げられることを見込んで輸入手当てをしたことによって、 対日輸出量が 大幅に増加したことや、 関税率の低下によってカナダへの輸出量が大幅に増加し たことが主なる要因である。  なお、 4月及び5月の輸出量は、 それぞれ5万8千トン、 5万2千トンとなっ たが、 これは、 過去10年において最も低い水準であった85年から87年にか けての年間輸出量を上回る数量であった。 また、 4月には、 単月の輸出量として は、 過去最高を記録した。

6月以降は、 前年を下回る


 6月以降の輸出量は、 7月に日本の緊急輸入制限 (セーフガード) が発動され たことから、 9月までは前年同月を5.4%から14.9%下回って推移した。 このため、 10月には、 日本でのチルドの年末需要もあって、 前年同月を13. 3%上回ったものの、 この間の輸出量は14万9千トンと、 前年同期と比べ4% の減少となった。

豚肉のチェックオフ制度が輸出増を生む


 全米豚肉生産者協議会 (NPPC) が行った調査では、 85年以降に米国の豚肉輸 出が増加したのは、 その時点から始まったチェックオフ制度の効果であるとして いる。 チェックオフは、 米国内で取引されるすべての生豚・豚肉について賦課金 を徴収するもので、 徴収された資金は、 内外での豚肉の消費拡大事業等に使われ ている。  この10年間に、 当該制度により1,020万ドルの資金が集まり、 国内のみ ならず、 海外市場の開拓費にも充当されたと見られている。 そして、 チェックオ フ制度が、 米国の豚肉生産者の所得を20億ドル増加させたと、 関係者は分析し ている。 また、 NPPCが米国食肉輸出連合会 (USMEF) と協力してキャンペーンを 実施したことが、 成果を上げることに貢献したものと見ている。
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