特別レポート 

豪州牛肉産業の構造改革の現状と展望
−激動の96年をふりかえって−

シドニー駐在員 鈴木 稔、 石橋 隆

はじめに


 1996年は、 世界中の牛肉産業関係者に大きなインパクトを与えた年であっ た。  わが国でも、 3月に英国政府が 「牛海綿状脳症 (BSE) 」 が人体へ伝播する可 能性が否定できないというショッキングな発表を行ったことを契機として、 牛肉 消費に少なからぬ影響が生じ、 さらにそのほとぼりが冷め、 ようやく消費が回復 に向かった矢先に、 病原性大腸菌 「O−157」 による大規模な食中毒の発生と、 牛肉に悪いイメージがつきまとった1年であった。  豪州の牛肉関係者にとっても、 日本、 米国市場での低迷から、 1996年はオ イルショック時以来といわれる深刻な輸出不況に見舞われた年であり、 これまで の 「課題」 であった業界の構造改革が生き残りのために不可避のものとなり、 い よいよ業界が動き始めた (動かざるを得なくなった) 年であったように思う。 さ らに、 3月に13年振りに政権復帰した自由党・国民党の保守連合は、 食肉関係 団体、 豪州検疫検査局 (AQIS) のリストラ方針を早々と打ち出し、 その検討が急 ピッチで展開した。  これらを背景に、 現在、 豪州の牛肉産業はその全体構造が根本から揺り動かさ れている状況にある。 このような豪州の牛肉産業をめぐる大きなうねりは、 すで に断片的には本誌等で紹介してきたが、 21世紀に向かっての大変革をもたらす ものとなると考えられることから、 ここで改めて96年の流れを包括的にふりか えるとともに、 今後の展望について触れてみたい。

1. 96年の需給動向


 豪州の牛肉産業に関しては、 基礎的な構造も、 最近の情勢もすでにわが国の畜 産関係紙などに数多く紹介されており、 本レポートで繰り返すことはしないが、 ここでは、 本題である最近の産業界の動きのよりよい理解のため、 留意する必要 があると思われる産業の特徴と最近の需給について簡単に述べたい。 (1) 豪州の牛肉産業の特徴
 豪州の牛肉産業は、 その生産量の6割以上を輸出する輸出依存型産業であり、 海外市場の牛肉需給の影響を受け易い構造となっている。  近年、 輸出市場としては、 日本、 米国が第一位、 第二位であり、 この両国向け で輸出量全体の7割強を占めている。  豪州は、 日・米への最大の牛肉供給国であり、 日・米向けの輸出量の生産量に 対する割合は、 それぞれ27%、 17.8%となっており、 実に豪州産牛肉の約 45%が日・米で消費されている。  従って、 豪州の牛肉産業はこの両国の需給動向に、 特に 「振り回され易い」 と いう宿命にあるが、 さらに、 この3か国は図1に示したとおり牛肉貿易について 密接な関係があり、 このことが状況を複雑なものとしている。  すなわち、 日本は、 牛肉需要量の6割強を輸入に依存しているが、 米・豪がそ の95%をほぼ二分する形で供給している。  一方、 米国は、 基本的には国内自給型の構造であるが、 加工用の安価な牛肉を 豪州などから輸入し、 輸入量に近い数量を輸出している。 輸出は日本向けが55 %を占めているが、 生産量に占める輸出量の割合は、 全体で7%強、 日本向けは 4%と必ずしも大きくはない。 しかしながら、 1千万トンを超える圧倒的な生産 量があることから、 日本向けの輸出数量は、 豪州と同程度となっている。 ◇図1 日・豪・米の牛肉貿易関係(1995年)◇ (2) 96年の動向
 輸出産業としての豪州の牛肉産業は、 日・米市場依存度が極めて高いが、 その 二大輸出市場の96年の牛肉需給は、 一言で言えば、 日本は始めに述べたように 消費が停滞、 一方、 米国は生産過剰であり、 豪州にとっては、 対米牛肉輸出の大 幅減、 低迷する日本市場では過剰となった米国産牛肉の対日輸出攻勢による競争 激化というダブルパンチの状況であった。  96年の牛肉輸出量 (船積量) を月別に見ると、 日本向けは前年同月を上回っ たのは、 1月、 2月及び4月だけである。 詳細に見れば、 4月もセーフガード解 除を見込んでのフローズン牛肉の仮需要による一時的な輸出増があったためと考 えられ、 より実需を反映していると考えられるチルド牛肉の輸出量は、 3月以降 前年をかなり下回って推移している (図2) 。 ◇図2 対日牛肉輸出量の推移(月別)◇  96年の対日輸出量は、 28万511トンと前年より12.4%下回り、 特に チルド牛肉は前年比17.3%もの減少となっている。 また、 米国産牛肉と最も 激しい競争関係にあるグレインフェッド牛肉というカテゴリーで見ても、 17. 3%の減少となっている (表1) 。 表1 対日輸出牛肉の内訳                単位:トン(船積数量) 資料:AMLC  一方、 対米輸出は、 すでに92年の37万2千トンをピークとして減少傾向に あるが、 96年 (1〜11月) は16万7千トンであり、 前年より20%も減少 した95年の同じ時期と比較して、 さらに14.7%の減少となっている。 おそ らく、 96年の対米輸出量は18万トン台に止まると予想されるが、 そうなれば 実にこの4年間で対米輸出量は、 ほぼ半減することになる。  このような輸出の低迷は、 当然のことながら価格の低下をもたらしており、 肉 牛の生産者販売価格は、 年初から低下の度合いを強め、 5〜6月には前年より3 〜4割もの低落となった。 その後、 幾分回復傾向にはあるが、 依然として前年よ り2割程度低い水準となっている。 また、 対日、 対米輸出価格もほぼ前年比2〜 3割減の水準で推移している (なお、 価格の推移の詳細は、 巻末の参考資料を参 照願いたい) 。

2. 産業界の動き


(1) 新政権の誕生とそのインパクト
 前述したような状況は、 必然的に生産者、 パッカー等からの政府、 食肉関係機 関等への圧力 (具体的には、 受益者負担となる政府の食肉検査のコストが高い、 生産者等からの課徴金で運営される食肉関係公社の活動が 「費用の浪費」 となっ ているなどの批判) の強まりを生じさせ、 また、 パッカー等の経営合理化、 撤退 等の動きを促すものとなったが、 業界団体のリストラ、 パッカーの経営合理化な どを加速させた要因として、 3月の自由党・国民党保守連合政権の誕生も見逃せ ない。  前労働党政権から13年振りに政権を奪還した保守連合は、 選挙戦を通じ、 低 い労働生産性が国際競争力の維持・強化、 経済の発展を阻害しているとして労働 市場改革を財政再建とともに大きな政策課題として国民に訴えてきた。  特に、 食肉加工産業は、 従来から前近代的な労働制度が割高な加工コストを生 じさせ、 国際競争力の低下と生産者の所得減を招いていると指摘されてきたにも かかわらず、 労働者を支持基盤とする前政権の下では何の改革もなされてこなか ったとして、 新政権は、 各論的に食肉加工業における労使関係の改革を選挙公約 としてきた。  豪州産業界全体としての労働市場改革は、 紆余曲折はあったものの、 11月に 新たな労使関係法が成立し、 今後の進展が予想される。 一方、 食肉産業に関して は、 新法の成立前から労使改革の動きが生じてきており、 これについては次節で 述べる。  また、 新政権は、 このほかにも食肉産業に関しては、 連邦政府機関である豪州 検疫検査局 (AQIS) の機能の見直し、 食肉検査制度の改革、 産業の構造改革推進 を選挙公約としてきたが、 後述するとおり、 これらの公約もアンダーソン第一次 産業大臣によって矢継ぎ早に実行に移されることとなった。 (2) パッカー等の再編
 96年の食肉加工サイドの大きなトピックスの1つとして、 豪州最大のパッカ ーであるAMH社が5月に 「企業の生き残りをかけた (同社、 ローソン会長) 」 合 理化計画を発表したことが挙げられる。  具体的には、 その所有する8プラントのうちの3プラントの閉鎖、 1フィード ロットの閉鎖、 主力プラントの設備拡充というものである。 ここで見逃してなら ないのは、 合理化計画発表直前の4月末に労使間で主力3プラントにおける個別 企業労使協定 (EBA) に合意したことである。  豪州労働界では、 アワードと呼ばれる、 各業種 (職種) ごとに設定される賃金、 労働条件に関する仲裁裁定 (多くは連邦レベルあるいは州レベル) が広く採用さ れている。  このアワード制は、 個別企業の生産性とは関係なく賃金が決定され、 また、 企 業の実態、 経営方針に従った柔軟な労働条件の設定等ができないという問題点を 有し、 特に食肉加工業関係のアワードは非常に複雑で、 種々の前近代的制度など、 硬直的で生産性の向上を阻害するような規定が盛り込まれており、 これがコスト 増の要因となっていると指摘されてきた。  このような中で、 AMH社は、 生産合理化につながる同社独自の柔軟な就業規定 設定のため、 足かけ3年にわたり豪州食肉産業従業員組合 (AMIEU) とEBA交渉を 続けてきたが、 労働党政権の下では労使関係大臣の干渉もあり、 合意実現には至 らなかった。 豪州最大のパッカーのEBAは産業全体に波及し、 食肉産業労働者(組 合) がよりどころとしてきたアワードを基本とする労働制度の崩壊につながる危 険性もあることから、 労働党政権下で進展しなかったことはうなずけるが、 これ が急展開したことは、 政権交代の影響と考えるのが適当であろう。  すなわち、 合理化計画の発表は、 EBAの締結が前提条件として必要不可欠であ り、 これは労使改革を推進する新政権となってはじめて可能となったという点に 留意する必要がある。  その後、 AMH社に追随するように、 いくつかの輸出パッカーがEBAへの動きを見 せており、 96年は食肉加工業における合理化に向けた労使改革が、 徐々にでは あるが進展しはじめた年と言える。  しかしながら、 EBAは労使改革の各論的手法であり、 アワード制を基本として いる限り、 食肉産業における労働生産性改善の抜本的対策としてはこの見直しが 必要となる。 この点で、 現在最も広く採用されている 「連邦食肉産業アワード」 が新労使関係法の下でのレビュー (注:新法では、 アワードで規定する内容を基 礎的な項目のみに大幅に削減、 簡素化することとされている) の最初のケースと される予定であり、 真の労使改革、 豪州食肉加工業の合理化が進むか否か、 数ヶ 月以内に出されると予想されるレビューの結果が注目される。  さて、 労使改革による経営合理化を進めるパッカーがある一方で、 いくつかの パッカーの撤退・買収の動きも目立った。 まず、 5月には豪州第6位 (95年) にランクされる豪州資本のマクフィー社が、 所有2プラントのうち、 1プラント をニュージーランド資本のANZCO社に売却し、 もう1つのプラントは閉鎖して食 肉業界から撤退した。  さらに、 11月末には豪州第5位のパッカーであるビクトリア州を本拠とする 豪州資本のギルバートソン社が、 住金物産 (注:89年に同社に資本参加し、 4 0%の株式を所有済み) に、 ニューサウスウエールズ州にある1プラントを除き、 残り3プラントをすべて売却した。  このほか、 12月には、 94年にクインズランド州の生産者が中心となって出 資して設立されたビーフランズ社のクーミニアプラントが、 豪・米の合弁会社へ 売却されることが明らかとなった。 この合弁企業は、 豪側は豪州主要スーパーへ 牛肉を供給する企業であり、 米側はマクドナルドへハンバーガーパティを供給す る大手企業であり、 このと畜プラントの買収とともにハンバーガーパティ製造工 場も新設される予定である。  これらの動きにより、 豪州パッカーへの海外資本の流入がさらに進んだが、 9 5年のパッカーランキング5位までの各社の資本系列をみると、 1位:AMH社(米 国) 、 2位:メトロミート社 (中国) 、 3位:ニッポンミートパッカーズ社 (日 本) 、 4位:クインズランドアバトア公社(豪州) 、 5位:ギルバートソン社(豪 州60%、 日本40%) →SBAフーズ社 (日本) となる。  なお、 第4位のクインズランドアバトア公社は州立で、 5つのサービスアバト ア (委託と畜場) を有するが、 慢性的なと畜能力の過剰に悩むクインズランド州 では、 パッカーのビジネスと競合していた。 さらに、 最近の食肉加工業界の経営 不振から、 パッカーサイドから公社不要論が持ち上がっていたことから、 クイン ズランド州政府は、 11月に、 同公社の経営から段階的に撤退する方針を決定し た。  95年におけるこの上位5社のと畜シェアは、 豪州全体のと畜頭数の29%強 であり、 市場寡占化というほどではないものの、 これらのパッカー撤退・買収等 の動きにより、 食肉産業の海外資本への依存度がますます高まり、 経営環境の厳 しさが増すとともに、 生産者の一部からは牛肉輸出先国の市場支配を懸念する声 も高まりつつある。  歴史的に見て、 豪州食肉産業の発展の基礎には、 主要輸出先であった 「祖国」 英国からの資本投入があったことは無視できない。 しかし、 91年以降の牛肉輸 入自由化を決定した日米・日豪牛肉交渉が終結した88年当時、 これら上位5社、 或いはこれらの企業が買収したプラントの前所有企業は、 その多くが豪州資本、 一部が英国資本であった。 このことを考えれば、 豪州パッカーの資本系列の変化 は、 生産者からみれば急激過ぎるということになろう。  さらに、 日本の牛肉輸入自由化を契機として、 急拡大してきたフィードロット 産業も、 95年半ばから日本市場での米国との競争激化、 飼料穀物高などから厳 しい情勢に転じている。 95年後半以降、 飼養頭数は減少傾向で推移し、 96年 9月末の頭数は95年12月末に比較して約3割減となっている。 このような状 況の中で、 96年にはいくつかの大型フィードロットが閉鎖されるという、 かつ てない事態が発生し、 環境の厳しさを物語っている。 (3) 業界団体の再編
 現在、 豪州の牛肉を中心とする食肉産業に関連する 「政府系」 の団体としては、 食肉産業評議会 (MIC) 、 豪州食肉畜産公社 (AMLC) 、 食肉研究公社 (MRC) の3 つがある。  ここで 「政府系」 としたのは、 この3団体ともにそれぞれ連邦政府の関係法を 設立根拠としており (わが国で言うところの 「特殊法人」 ) 、 生産者、 パッカー 等からの課徴金をその活動の原資としているからである (なお、 運営財源を課徴 金に求めることも連邦関係法によって規定されている) 。  AMLCは、 国内外での食肉の消費拡大、 販売促進、 食肉格付け等を主たる業務と しており、 わが国でも 「オージービーフ」 キャンペーンを推進している団体とし て一般消費者にもなじみのある組織かと思う。  MRCは、 食肉産業の発展につながる生産から加工・消費段階までの各種の関連 技術の研究・開発、 海外市場の輸出ポテンシャルの調査研究などを行う組織であ り、 最近では、 ビデオ画像を用いた肉質解析技術の開発などを推進している。  MICは、 食肉産業の発展のための戦略、 政策の立案・提言機関であり、 同時に MICが打ち立てた戦略、 政策の実現のための各種活動の実行機関となるAMLC、 MRC の監督権限を有している。  世の常で、 このような団体の活動に対しては、 運営原資となる課徴金を払うサ イドからは、 自分たちの意向が十分に反映されない、 経理が不透明、 コストがか かっている割りに成果があがっていないなどの批判がつきものであり、 前政権下 でも一応の見直しがなされてきた。  その結果、 現在の3団体の体制となったが、 その時期は95年7月とごく最近 であり、 さらに、 この体制の根拠となる1995年連邦食肉畜産業法では、 設立 の根拠を連邦法に求める現体制は98年6月末までとされ、 その1年前の97年 7月1日までには、 政府と業界でこの組織体制の見直しを開始することが求めら れている (なお、 近年における食肉関係団体の変遷は、 参考1に示したとおりで あり、 これまでにも、 さまざまな背景から幾度かの再編が行われてきている) 。  先にも述べたように、 食肉産業をめぐる状況の厳しさが増すとともに、 生産者、 パッカー等からこれら団体の活動に対する批判の声は強まりを見せ、 選挙公約で も食肉産業の構造改革の推進を掲げてきた新政権は、 このような情勢も考慮し、 アンダーソン大臣が5月のMIC総会の場で、 食肉関係団体の見直しに早期着手す ることを表明し、 改革のスタートを切った。  その後、 5月末に連邦政府職員と学識経験者からなるタスクフォースが設置さ れ、 各団体の業財務内容、 事業効果などをレビューした上で、 今後の食肉関係組 織の体制のあり方について、 産業界からも広く意見を聴取した上で検討案を取り まとめ、 新たな組織体制を勧告するレポートが10月10日付けで大臣に提出さ れた (公表は10月末) 。  そのレポートでは、 現在の3団体を解散した上での新たな組織体制として、 次 のような3つの選択肢 (図3) を勧告している。 なお、 選択肢にある 「公社」 は、 現公社とは異なり設立根拠を法令に求めない形のものであるが、 活動原資は従来 どおり生産者等からの課徴金で賄われる。 選択肢 (1) :それぞれマーケティング部門、 リサーチ部門及び品質管理部門を        有す牛肉と羊肉の2つの畜種別公社の設立 選択肢 (2) :牛肉と羊肉で独立したマーケティング、 リサーチ及び品質管理の        4部門を有す単一の公社の設立 選択肢 (3) :牛肉と羊肉でそれぞれ独立してマーケティング、 リサーチ及び品        質管理を行う2つの部局を有する単一の公社の設立  レポートは、 選択肢 (1) が最も支持が多かったものとしているが、 いずれの 形となるにしても、 言わば 「民営化」 によって、 経費削減 (=課徴金負担の低下 ;レポートは課徴金の半減が可能としている) と食肉関係者に対し 「自分たちの 組織」 という意識を生じさせる組織改革となることは間違いない。  なお、 アンダーソン大臣は、 関係者の意見を聴取した上で、 97年1月中に最 終決断を下すとしており、 関係法令の整理の後、 早ければ新年度に当たる97年 7月には新体制が発足というスケジュールとなると考えられる。 ◇図3−1 食肉関係団体の再編案:食肉産業構造の選択肢(1)◇
◇図3−2 食肉関係団体の再編案:食肉産業構造の選択肢(2)◇
◇図3−3 食肉関係団体の再編案:食肉産業構造の選択肢(3)◇ (4) AQIS及び食肉検査制度の見直し
 AQISの機能及び豪州の検疫制度に関しては、 かねてより様々な議論があり、 こ れまでにもいくつか内外のレビューが行われてきたが、 95年12月に当時のボ ブ・コリンズ第一次産業大臣が、 学識経験者による独立した調査委員会を設置し、 検疫方法等の技術的な問題まで含めた包括的なレビューに着手した。  AQISの機能の見直しを選挙公約としてきた新政権は、 この委員会のメンバーを 拡大した上で、 レビューを継続してきたが、 最終レポートは10月にアンダーソ ン大臣に提出された (公表は12月) 。  そのレポートでは、 109項目にわたる勧告がなされているが、 検疫は政府、 産業界及び一般国民が責任を共有し合うべきものということを根本思想として、 新たに “Quarantine Australia" という、 現在のAMLCやMRCと同じように関係 法の規定により設立される機関を設置し、 食肉の検査業務を除いて、 他のすべて のAQISの機能、 権限を移管すること、 すなわち、 検疫業務を連邦政府の直接管理 から政府の監督下で産業界からの代表も含む管理体制で運営される 「特殊法人」 へ移管することが勧告されている。  また、 食肉検査制度については、 アンダーソン大臣が8月に改革に着手するこ とを発表し、 この委員会とは別に9月にAQIS改革推進委員会を発足させ、 検討が 続けられてきたが、 そのレポートも先のレポートとほぼ同時に12月に公表され た。  このレポートでは、 基本的にAQISから食肉検査業務を分離し、 現行のAQIS職員 による食肉検査から、 HACCP/QAの推進による企業ベースの食肉検査 (注) へ段 階的に転換していくこと、 国内向けと畜場での食肉検査からのAQISの撤退 (注: 豪州における食肉検査は、 基本的には輸出向けは連邦政府機関であるAQISの所管、 国内向けは州政府の所管となっており各州の食肉庁などが検査業務を実施してい るが、 ニューサウスウエールズ州、 首都特別区及びノーザンテリトリーではAQIS 職員が検査を代行している。 ) などが勧告されている。  アンダーソン大臣は、 AQISの改革に関しては、 3月末までに一定の方向を示す としている。 (注) AQISの実施する各種検疫検査に関しては、 費用の受益者負担が原則となっ ており、 食肉検査に関しては、 各プラントのと畜規模に応じて一定数のAQISの検 査官、 獣医官の配置が義務付けられ、 パッカーはこれらのAQIS職員の給与+諸費 用に相当する額を検査費として支払わなければならない。 プラントの操業状況に よっては、 これらAQIS職員も検査のために 「残業」 しなければならないが、 この 際の超過勤務分についてもパッカー負担となるため検査費は一概には言えないが、 年間のコストは検査官1名あたり8万ドル前後、 獣医官で9万5千ドル前後と推 定される。  HACCP/QAによる企業ベースの食肉検査とは、 具体的には、 AQISが承認したHAC CP/QAシステムの下で、 これまでのAQIS検査官に代わり各企業の職員、 或いは検 査サービスを行う第三者機関が食肉検査を実施し、 AQISはこれらの監督、 検査証 明書の発行を行う形とイメージされる。

3. 今後の展望


 これまで述べてきたように、 豪州食肉産業は構造、 体質的に大きな変革期を迎 えたと言える。 しかしながら、 その動きはスタートしたばかりであり、 今後どの ような形で実現されていくのか97年が注目される。 現時点で今後の方向を占う のは困難かもしれないが、 我が国への影響も大きいと考えられることから、 筆者 の個人的見解も含めて展望してみたい。  まず、 パッカーの再編に関しては、 間違いなく進む、 或いは進まない時は豪州 牛肉産業が崩壊する時と言えるであろう。  豪州の食肉加工サイドの抱える問題は、 端的に言えばコストが割高で国際競争 力を阻害していることであるが、 その要因は大きく2つに分けられる。 すなわち、 1つは先にも述べた前近代的な労働制度に起因する低労働生産性、もう1つは(中 長期的にみれば相当減少したとは言え、 依然として続く) 老朽中小プラント (パ ッカー) の乱立、 過剰と畜能力 (=プラントの稼働率が悪い) ということである。  前者の問題点は新政権の労働市場改革によってようやく解決に向かって進みは じめたが、 EBAの締結にしても、 依然としてかなりの困難が伴い、 紛糾してスト ライキというお決まりのパターンを何度か繰り返すのが当たり前の状況のようで ある。 しかしながら、 現在の苦境は、 労働組合サイドにも余りにも激しく抵抗を 続ければ職場を完全に失うことになるという危機感を少しではあるがもたらして いるのではないだろうか。  後者の問題解決は、 前者の問題点の解決と深く関係するが、 これからが正念場 と言えよう。  ここで、 と畜能力の過剰問題をすこし分かりやすく説明したい。 まず、 豪州の 牛肉輸出の中心であり、 豪州全体のと畜頭数の約3分の1を処理するクインズラ ンド州には、 現在輸出向け、 国内向けあわせて30余りのと畜場がある。 熱帯地 域も含む同州では、 気候条件的にプラントが季節操業とならざるを得ない地域も あり、 一概に稼働率を捉えられないが、 と畜頭数は、 通常週5万頭台、 多い時で 6万頭強、 「O−157」 の影響で対日輸出が大幅に落ち込んだ96年8月頃は 4万頭台となっている。  豪州最大のパッカーであるAMH社も本拠をここにおくが、 先に述べた同社の合 理化計画では、 本社プラントはと畜能力をほぼ倍増の2500頭/日とすること が伝えられている。 この規模で週6日間操業するならば、 このプラントだけで週 1万5千頭をと畜できる計算となる。 したがって、 マクロでみれば、 拡充後のAM H本社プラント規模のものが4つあればクインズランド州の牛はほぼ全てと畜可 能と計算される。  実際にはクインズランド州は日本の約4. 6倍の面積があり、 さらに豪州牛 肉産業全般の特徴として、 干ばつなどの自然災害時にはと畜頭数が大幅に増加す るという物理的要因や各パッカーそれぞれの生産形態、 企業戦略もあり、 事情は 複雑であるが、 すくなくとも前述した 「官営」 のクインズランドアバトア公社の 撤退程度では過剰能力の問題の解決は困難であろう。  また、 クインズランド州に次ぐ牛肉輸出量を誇るニューサウスウエールズ州で も、 州食肉庁と大学の共同研究によれば、 経済的にみて今後操業を継続できると 畜場は56か所のうちの半分程度で、 5000人の雇用が失われるとのショッキ ングな報告もある。 (ちなみに、 すでに数か所のと畜場が閉鎖という状況にあり、 同州の最近の牛のと畜頭数はと畜能力の60%台となっている。 )  今後のパッカー再編は、 基本的には大企業 (或いは複数のプラントを有する企 業) のプラント整理・集約化、 中小企業 (特に老朽化したプラント) の撤退とい う形で、 より少数の企業による、 より少数の (大型・近代的) プラント操業へと 進んでいくと予想され、 資本的には海外資本の流入がさらに進んでいくものと考 えられる。  しかしながら、 最近の目覚しい海外資本の流入は、 外国企業の市場支配を懸念 する声を強くさせている。  10月に国営テレビ局が、 低迷する牛肉産業に関する特別レポートを放映した が、 一般視聴者に、 市況低迷の要因が、 あたかも日、 米企業が市場を支配し、 豪 州国内で利益を抑え、 自国で巨利をむさぼっているためという印象を与えるもの であった。 特に、 日本に関しては、 日本の従価税制度が輸出価格を抑制している (牛肉本体の価格の 「50%」 が関税として課させることから、 本体価格が低け ればそれだけ関税額も低くなるから、 業者は皆、 輸出価格を低く抑えようとする) 、 日本の流通業者が豪州産牛肉を不当表示販売しているなどの関係者のコメントが 紹介されている。 レポーターも食肉関係者も日本の牛肉関税が 「50%」 と信じ て関税制度に関するやりとりをしているが、 豪州肉牛協議会 (CCA) も報道の翌 日に抗議声明を発表したように、 もちろん豪州でも食肉関係者の多くはこの報道 が偏った見方をした、 事実とは極めて異なるものであることは理解している。 し かし、 一部には、 これが真実、 これが全てと信じている食肉関係者がいることも 事実として認識しておく必要がある。  余談ではあるが、 このテレビ放映の少し前、 新人の 「白人」 女性国会議員 (ク インズランド州選出) の国会での人種差別発言 (先住民であるアボリジニが不当 に優遇され逆差別となっている。 アジア系移民のおかげで、 職業等、 我々の子ど も達の将来が脅かされている。 このままではアジア系移民に乗っ取られてしまう、 など。 ) が、 先住民、 アジア系移民及びいくつかのアジアの国からの反発を招い た。 しかし、 これらの反発の一方で、 この発言を容認、 擁護する声も高まりを見 せ、 現在、 豪州内では人種問題で不安定な状態となっている。 ドイツのネオナチ ズムやロサンゼルス地震後の黒人、 韓国系住民への迫害のような過激な動きでは ないにしても、 かつての白豪主義が再来するのかと思わせるような場面も時に見 られるようになった。  この人種差別発言の問題にしても、 先住民のことは別として、 客観的にみて、 発言の根底にある状況を産んだのは、 もともとは同じ移民ではあるが、 飢えを知 らない‘ラッキー・カントリー’で育った世代と基本的には飢えを逃れるために 比較的最近豪州にやってきたアジア系の人間とでは、 生きていくための心構え (ハングリー精神) が違うことが最大の要因であると思われるし、 また、 一部生 産者の海外企業による市場支配を懸念する声は、 問題は豪州に実力 (経済力) が 不足していたという内部要因に起因しているにもかかわらず、 外部要因に問題を 転嫁している感がある。  もちろん、 このようなことは、 豪州だけでなく世界中どこにでもあることだが、 時には紛争の原因ともなる厄介なものであるので、 今後、 事態がこじれないこと を願いたい。  食肉関係団体の再編に関しては、 どのような団体構成になるかは別にして、 実 質的には、 これまで行われてきたマーケティング、 研究開発等の活動が継続され ることになるが、 その方向、 規模、 手法などがどのようなものとなるかが注目さ れる。  再編・民営化により、 これらの活動に対し、 生産者等関係者の声がよりよく反 映されるという 「改善」 がなされる訳であるが、 一方では、 これが 「問題」 とな る危険もはらんでいるように思う。  すなわち、 生産者等の声といっても豪州内でも州、 地域によって様々であり、 豪州産牛肉の大きな受け皿となっている日本という国の 「よそ者」 の人間の目か ら見て、 どこの声がより反映されていくかによっては、 豪州の牛肉産業がさらに 窮地に立たされるような方向に進んでいく危険もはらんでいるように感じる。  現在、 生産者の関心は今後の課徴金の水準とともに、 新組織の役員構成、 役員 の選出方法に向けられている。 生産者サイドの一部からは、 役員は生産者代表の み、 役員の選出は全国を20―25の 「選挙区」 に区分した上での選挙というよ うな主張がなされているが、 仮にこのような主張が通ったとしても、 この選挙区 を何を基準に設定するのか?面積か、 農家数か、 飼養頭数か、 地域の生産者が支 払う課徴金総額なのか?いずれにしても、 新組織の 「舵とり」 となるリーダーに よって、 その方向性が大きく変化する可能性があるので、 今後に注目する必要が あろう。  先に述べたテレビ報道の発端となったクインズランド中・北部の生産者は、 自 分達が豪州の牛肉産業のリーダーであるという強い自負を持っている。 事実、 こ の地域は大規模農家が多く、 また、 牛肉輸出の中心となっているが、 確かに量的 には中心であるが、 豪州で最も品質の劣る牛肉を生産・輸出する地域であり、 製 品的には、 米国向けの加工用牛肉及びテーブルミートでも、 特に日本、 韓国等の 市場で時として問題となる 「硬い」 、 「グラス臭が強い」 、 「品質がばらつく」 といった豪州産牛肉全体のイメージを悪くするような製品を供給する地域でもあ る。 別な言い方をすれば、 品質が吟味された最終製品ではなく、 原材料的な製品 を輸出する、 昔ながらの資源輸出国としての豪州の姿を色濃く残す“commodity exporter" である。  しかしながら、 強い自負を持つ一方で、 先に述べたように市況低迷の要因を短 絡的に外国企業の市場支配やAMLCのコストパフォーマンスの悪いキャンペーン、 日本の流通業者の不当表示販売などに結びつけるような側面も有している。  少なくとも日本で豪州産牛肉が着実にその地位を固めてきた背景には、 質的向 上に努力してきたことが大きいと考えられるが、 今後の産業界の方向を定めるリ ーダーが飼養頭数、 生産・輸出数量などの量的実績を重視して選ばれるとすれば、 豪州牛肉産業は、 従来の品質向上 (付加価値化) 路線がペースダウン或いは最悪 の場合は昔ながらの“commodity exporter"に逆もどりということにもなりかね ない。 また、 近い将来、 南米諸国が牛肉の輸出国として国際市場に登場してきた 時には、”commodity exporter"としての豪州産業は多大な影響を被ると思われる。  いささかまわりくどい言い方となったが、 要は 「産業の中心地は、 必ずしも (産業発展のために必要となる)『情報』の中心地ではないが、 産業の中心を担う 者がどのような情報・考えで産業をリードするかによって、 産業全体の方向性が 大きく変化することがあるのではないか。 」 というような懸念を個人的には業界 団体再編の行方に抱かざるを得ない。  AQIS及び食肉検査制度の改革は、 正直なところ、 どの程度のものとなるのか全 く予断を許さない。 すなわち、 現在AQIS職員は2200人強 (うち、 食肉検査官 は1000人余り) もおり、 人減らしに対する公務員組合からの抵抗も大きく、 また食肉検査の改革もその前提となるHACCP/QAによる企業ベースの食肉検査は そのトライアルがようやく動き出す段階でその成否は不明であり、 また、 仮に順 調に進んだとしてもこのような食肉検査体制が輸出国側から受け入れられるもの となるのかどうかも疑問である。 (なお、 食肉検査制度の改革に対して、 公務員 組合は、 米国の消費者団体などと連携し、 現在進められている改革案は食肉の安 全性確保という時代の要請に逆行すると主張している。 )  食肉検査制度の改革に関しては、 AQIS改革推進委員会は、 企業ベースの食肉検 査への移行期間の組織体制として、 食肉検査サービス業務を行う1)AQIS外局、 2) 「特殊法人」 3)政府企業という3つの選択肢を提示し、 また経営試算も行い受益 者負担の原則を貫きつつも業界のコスト負担は漸次軽減されるとしているが、CCA は業界コストについては精査する必要があるとしている。 全てはHACCP/QAベー スの食肉検査への移行が順調に進むかどうかという点にかかるが、 進まなければ、 単に上記選択肢にあるような、 名称は異なるけれども何ら現在のAQISと変わらな い組織に業務が移管されただけに終わることも考えられる。  いずれにしてもAQIS本体の 「特殊法人」 化勧告も含め、 これらの改革の行方は 五里霧中といったところであろう。  豪州食肉産業をめぐる構造、 体質に関する厳しい 「お家事情」 を是正するため の96年のこれらの動きは、 どの程度の成果が出るかは別として、 それ自体で画 期的なものと言える。 しかし、 直接的には現在の厳しい市況を回復させるもので はない。 CCAもこのことは関係者へ警鐘を鳴らしている。  天気まかせ、 海外の市場動向まかせといった豪州牛肉産業の宿命から、 事態を 全て受け身で捉え、 米国のキャトルサイクルが下降に転ずれば市況は回復すると いう楽観的な見方をする者もいるが、 市況回復或いは改善、 さらに将来の産業発 展のためには、 産業界一丸となった積極的な市場開拓、 国内外の市場ニーズへの 的確な対応などへのたゆまぬ努力が必要であることは言うまでもない。  その点に関しては、 MICが95年12月に食肉産業の発展のための戦略計画を 発表しているが、 その中で消費者への食味 ( 「おいしさ」 ) の保証、 「農場から 食卓」 までのQAシステムを通じた安全性の保証、 より持続的な (品質、 数量の) 製品供給などによる国内外における産業イメージの改善及び市場開拓などのマー ケティング活動で最善を尽くすことを課題として提示している。  これらの課題に対処する形で、 すでにQAに関しては牛肉の生産から加工までの 各段階のQAシステムがほぼ確立し、 96年には相当の普及進展がみられた (詳細 は、 「畜産の情報 (海外編) 」 9月号参照) 。 また、 つい最近、 消費者へ牛肉の 「おいしさ」 を保証する、 食味保証プログラムも開始された。 このような前向き の努力が成果をあげ、 豪州食肉関係者が自らの力で、 明るい展望を開いていくこ とを期待したい。

(参考1)


近年における豪州食肉関係団体の変遷 (1977年〜)

1977年 豪州食肉畜産公社 (AMLC) の設立
      連邦の 「1977年豪州食肉畜産公社法」 に基づき、 豪州食肉ボー       ド (1936年設立) を改組する形で設立。 豪州食肉ボードの運営       の効率化、 業務の弾力性の向上のための機能合理化、 権限付与等を       改組の目的としていた。 1984年 豪州食肉畜産政策評議会 (AMalic) の設立
      設立の趣旨は、 食肉産業の抱える問題、 課題の克服に向けての政策       の立案、 政府への提言であったが、 実際には、 各種活動の実行機関       であるAMLCに対する権限を有しておらず、 サロン的なものにすぎな       かった。 1985年 豪州食肉畜産研究開発公社 (AMLRDC) の設立
      AMLC の監督下 (注) で 「食肉研究委員会」 として設置されていた       研究開発推進部門を分離・独立。 (注) 食肉研究委員会は連邦の 「1960年食肉研究法」 で課徴金を原資として 食肉に関する研究を実施する機関として位置付けられたものであったが、 AMLC総 裁を委員会メンバーに加えることが法的に規定され、 さらに、 委員会メンバー1 2名中7名を占める生産関係者はAMLCの推薦によるものであり、 また、 第一次産 業大臣が最終承認する研究課徴金の額は、 その事前に委員会からAMLCへ勧告され るという形で、 事実上AMLCのコントロール下に置かれていた。 AMLC内にCALM設立
      CALMはComputer Aided Livestock Marketingの略称で、 いわゆる家       畜の 「情報取り引き」 を行う組織。 1987年 AMLC内にオズ・ミート (AUS-MEAT) 設立
      AUS-MEATはThe Authority for Uniform Specification for Meat a       nd Livestockの略称で、 食肉の格付け基準の制定、 格付員の訓練、       品質の証明などを行う組織。 1991年 AMLRDCが食肉研究公社 (MRC) に名称変更 1993年 サイモン・クリーン第一次産業大臣 (当時) 、 産業委員会へ食肉加 工業に関する調査・報告を依頼 1994年 産業委員会報告 (食肉団体の組織体制に関して、 AMalicの食肉産業 評議会 (MIC) への改組、 権限強化などを勧告) 1995年 MICの設立 1996年 連合政権誕生 (3月)
      アンダーソン第一次産業大臣、 食肉関係団体の再編の検討方針を発       表、 タスクフォースを設置 (5月)       タスクフォースレポート公表 (10月) 1997年 アンダーソン大臣の決断 (1月?)
元のページに戻る