冷凍家きん肉、 二ケタの輸出増を維持
家きん肉輸出のほとんどを占める冷凍品の輸出は、 96年1−11月の実績が
前年同期比で18. 4%増の268千トンとなった。 95年通年の同輸出実績
が、 前年比+53. 1%と急増したことからすると伸び率は大幅に低下したも
のの、 依然として二ケタ台の 「好調さ」 を維持している。
改革・開放政策による経済成長の進展に伴い、 他の畜産物同様、 近年、 ブロイ
ラーを中心に家きん肉の生産が急増した。 それにともなって輸出余力が急拡大し
たことや、 経済開放の進展、 輸出規制の緩和などにより、 近年、 家きん肉の輸出
実績は、 生産の伸び率を大きく上回るペースで伸びてきた。
<家きん肉の生産、 輸出量の推移>
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96年1-11 95年 94年 93年
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生 産 −(不明) 9,347(+23.8) 7,552(+31.7) 5,736
輸 出 268(+18.4) 249(+53.1) 164(+73.9) 94
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(注) 1 ( ) 内は前年 (同期) 比 2 単位:千トン、 %
3 輸出は冷凍品のみ 4 資料 中国統計年鑑、 海関統計
基軸となる対日輸出
中国の家きん肉はまた、 低製造コストを武器に国際市場に急進出したというこ
とができる。 なお、 輸出相手国別内訳は未公表であるが、 我が国の貿易統計から
推定すると、 その大部分が対日輸出である。 近年の日本市場の動向をみると、 中
国は、 平成6年度には 「二段抜き (前年度比+82%) 」 でトップの座について
おり、 輸出余力拡大の影響と当時の価格競争力が、 いかに大きなものであったか
をうかがうことができる。 したがって、 近年の中国の輸出動向は、 我が国のブロ
イラーの輸入動向と不可分の関係にあるということができよう。
<日本のブロイラー輸入量の推移>
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平成8年度(4-11月) 7年度 6年度 5年度
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中 国 156.9(+8.2)@ 192.3(+29.2)@ 148.8(+81.5)@ 82.0B
うち、チルド 8.8[1.1] 6.2 [0.5] 2.7 [0.2] 0.5
全 体 409.0(+5.3) 528.6(+10.7) 477.3(+25.9) 379.1
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(注) 1 ( ) 内は前年度 (同期) 比 2 [ ]内はチルドの月平均輸入量
3 ○内数字は輸出国中の順位 4 単位 千トン、 %
5 資料 大蔵省 「日本貿易月表」
内外の停滞要因が影響した96年上半期の動向
次に、 96年の動向についてみると、 中国の家きん肉輸出の伸び率 (最新デー
タは、 1−11月/冷凍品) が、 前年、 前々年実績に比べて、 著しく低くなった
原因は、
(1) 日本市場で、 1) 需要期明けの1月の推定期首在庫が11万トン (前年は8
万トン) と予想外に重かったことから、 上半期は調整局面となり、 総輸入量が
前年同期比8%減少したこと (前年上半期が、 円高の進行により、 高水準の輸
入量となったことも反映) や、 2) 巻き返しを狙う米国や伸び盛りのブラジル
との競争が激化したこと、
(2) また、 中国側でも、 1月からの新輸出税制 (増値税還付率の引き下げ) の
もとで、 国内販売/輸出戦略の打ち出しに、 慎重な取り組みが行われた事情が
あったこと、
などによって、 上半期の輸出量が、 前年並みの水準 (+0. 8%) にとどま
ったことによるものである。 しかしながら、 時間の経過につれて多くの停滞要素
が解消したことから、 下半期に入ってからは対日輸出は急速に回復し、 上半期が
前年同期比−15. 5%であったのに対して、 1−11月期では前年を上回り、
前年同期比で+3. 9%にまでに回復している。
チルド品の急増に注目、 輸送体制整備がカギ
なお、 中国の対日輸出で今後注目すべきものは、 チルド品の動向である。 チル
ド鶏肉は足の早い商品であるが故に、 対日輸出では輸送距離の短い中国の独断場
であるが、 1) 中国内輸送の冷蔵チェーン化が遅れていることや、 2) 海上輸送手
段の不足から、 伸び悩んでいると指摘されてきた。 しかしながら、 最近の実績で
は、 チルド品は、 既に月平均千トンを超えており、 その急速な伸び率が注目され
る。 鶏肉業界関係者によれば、 この増勢は日本の需要要因が強いとのことである
が、 ネックとなってきた輸送体制の整備の進捗が、 今後のチルド輸出のカギとな
ろう。
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