農業生産が着実に向上 (フィリピン)



農業省が農業経済リポートを公表


 フィリピン農業省は、 先ごろ、 今年上半期の農業経済レポートを公表した。  同国では、 91年から92年にかけて、 政治的な混乱によって経済成長が一時 的に停滞したが、 その後、 93年は2.1%、 94年4.3%、 95年4.8%、 96年上半期は5.0%の実質成長率を達成し、 着実な回復途上にある。 96年 上半期の成長率を産業別に見ると、 鉱工業5.9%、 サービス産業5.1%、 農 林水産業3.9%となっており、 農業分野においても需要拡大が著しい畜産分野 を中心に着実な成長が見られている。

農業生産額は2, 581億ペソ (約1兆円)


 同レポート (林業は含んでいない) によると、 今年上半期の農業生産額は2, 581億ペソ (約1兆円) となっており、 この額は、 わが国の農業生産額のほぼ 12分の1に相当している。 下表に、 その内訳を示したが、 このうち畜産はブロ イラー部門での急激な伸びから3分野の中では最も高い伸びを示している。

食肉の生産が拡大


 畜産分野では、 豚肉生産の比重が高くなっている。 豚肉生産量は、 95年12 月以降、 豚肉価格が高騰したことにより、 肥育豚の供給が拡大し、 生産量が増加 した。 また、 牛肉は、 肥育素牛の輸入増加によって生産が拡大した。 一方で、 山 羊、 水牛、 酪農は生産が減少している。 特に酪農は、 粉乳や練乳の輸入が定着し ており、 国内生産が発展しにくい環境となっている。  家きん部門は、 農業生産額の8分の1を占めており、 ほぼ養豚と同じ生産規模 となっている。 家きん部門の生産量の増加が著しいのは、 従来型の市場における 処理販売ではなく、 と畜場で一括処理されるブロイラー生産の増加によっている。 ブロイラーは、 畜産物の中で最大の伸びを示しており、 畜産物の流通部門におい ても専業化が徐々に進みつつあるといえる。
元のページに戻る