◇絵でみる需給動向◇
タイ農業協同組合省から公表された統計によると、 ブロイラーの11月の生産量 は、 対前年同月比24.3%増の64.0百万羽となり、 引き続き高い生産水準を維持し ている。 しかしながら、 10月から実施された生産調整の効果が一部現われ、 対前 月比では、 2.7%減となっており、 生産量は、 前月より1.8百万羽減少した。 一方、 国内の鶏肉卸売価格は、 2月現在のところ、 供給過剰のため暴落した10 月の低い水準からは持ち直しているものの、 需給は、 日本向けをはじめとして輸 出が全体的に不振であるため、 依然として供給過剰の傾向である。 また、 国内経 済沈滞の影響もあり、 4月のソンクラン (水掛け祭り) に向けての需要期に入っ ても、 価格の大きな上昇はないと見込まれている。 鶏肉の国内最大の需要期に入 るにもかかわらず、 直接的に鶏肉価格の上昇には結びつかないという厳しい状況 にある。
タイブロイラー輸出業者協会は、 97年第1四半期 (1月から3月) の日本向け 冷凍鶏肉の輸出見込みを明らかにした。 これによると、 冷凍鶏肉の日本向け輸出 は、 前年の同じ時期を10%程度下回る1.8〜2.0万トンにとどまる見込みである。 日本向け輸出が不振の中、 比較的好調なEU向けの他、 韓国、 シンガポール、 ロシ ア向けの輸出増加に期待がかけられている。 また、 将来の有力市場としては、 カナダやオーストラリアが有望視されている。 現在、 加熱鶏肉の輸入について協議が進められている。 2月上旬には、 カナダ政 府から検査官が派遣され、 タイの鶏肉処理場、 加工場の検査が行われた。 一部施 設の改善を条件として、 カナダへの輸出が認められるものと見込まれており、 タ イ鶏肉の市場が拡大するものと期待されている。 しかし、 カナダと、 北米自由貿 易地域 (NAFTA) を形成している米国、 メキシコから安価な鶏肉が、 大量に流入 しており、 域外国であるタイの加熱鶏肉が、 価格面で対抗できるか疑問視する向 きもある。 一方、 オーストラリア向け輸出に関しては、 豪州政府が鶏の疾病 (ニューカッ スル病) の問題から輸入解禁に難色を示しており、 加熱条件などの諸条件の整備 や、 豪州検査官によるタイ鶏肉処理施設の検査などに時間を要する見込みで、 事 態は一向に進展していない。 これに対し、 タイの養鶏業界は、 豪州政府が国内の 鶏肉生産者の強い反対を受けて、 輸入許可を引き伸ばしているものと強く反発し ており、 タイ政府に対し早急な事態の打開を強く求めている。 いずれにしても、 将来のタイ鶏肉輸出の拡大のためには、 数量的に限定されている加熱鶏肉だけで なく冷凍鶏肉の輸出先の開拓と、 鶏肉調整品の大型商品の開発が急務である。
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