米国の鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○ブロイラーの価格動向



● 堅調な動きが続く丸どり価格



 96年のブロイラーの丸どり平均卸売価格 (主要12都市平均、 中抜き) は、 好調
な需要を受けて61.3セント/ポンドとなり、 前年に比べて8.8%の値上がりとな
った。 97年に入ってからも卸売価格は引き続き堅調に推移しており、 2月は、 前
年同月比8.5%の値上がりとなっている。 

● 明暗を分けるむねともも価格



 主要品目別に見ると、 国内向けの供給が主力となっているむね肉の96年の平均
卸売価格 (ボンレス、 北東部) は、 前年比1.9%高の176.5セント/ポンドとなっ
た。 当該卸売価格は、 96年夏には低迷したが、 11月以降は国内需要が好調で急速
に回復し、 97年に入ってからも前年同月を上回って推移している。 2月は、 前年
同月に比べて9.9%高となっている。 

 一方、 輸出向けが主力となっているもも肉の96年の平均卸売価格 (ホール、 北
東部) は、 輸出が概ね順調に伸びたことから上昇し、 56.9セント/ポンドと前年
を7.8%上回った。 しかしながら、 昨年末からは前年を下回る水準となり、 97年
2月は前年同月比10.2%の大幅な値下がりとなっている。 

◇図:ブロイラー卸売価格の推移◇

 

● もも肉価格の下落、 輸出不振が背景



 このように、 昨年末からもも肉の価格が急落した主な要因は、 輸出が大幅に減
少したことから在庫が増え、 値崩れを起こしたことである。 

 輸出は、 対ロシア、 対中国 (香港向けを含む) 向け輸出が急増したことから、 
近年一貫して増加傾向にあったが、 96年12月のブロイラー輸出量 (可食処理ベー
ス、 骨付き) は、 前年同月比26.1%減となり大幅な減少に転じた。 特に、 輸出の
およそ4割を占めるロシア向けが、 前年同月比29.0%減と激減した。 これは、 国
内産業の保護と外貨保持に敏感となっているロシアが、 衛生問題等を理由に再度
輸入禁止措置を持ち出すのではないかと危惧した米国の輸出業者が、 ロシアへの
輸出数量を手控えたことが大きな要因とされている。 

 ちなみに米国側では、 好調な輸出需要を引っ張ってきたロシア向けが大幅な減
少に転じたことについて、 一時的なポジション調整とみなして、 それほど深刻に
は受け止めていない。 

● 新たなロシア市場戦略は産業協力



 そうした中、 米国のブロイラー業界は、 2月上旬、 ロシア国内でのブロイラー
生産を支援する意向であることを発表した。 これは、 ロシアとの関係を、 輸出の
みの一方通行的なものにするのではなく、 生産支援にも携わることによって、 長
期的な産業協力関係を結んだ方が将来的に得策であると考えたためである。 米農
務省もこの計画に賛成しており、 国を挙げてロシアとの関係を一段と深めようと
する動きがみられる。 

 今後は、 全米ブロイラー協会が資金面の調整を行い、 米国家きん・鶏卵輸出協
会が計画の運営を進めていくことになっている。 


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