◇絵でみる需給動向◇
米農務省 (USDA) が2月に発表した穀物需給予測によると、 96/97年度の世界 のトウモロコシ貿易量は、 前年度の65.9百万トンから3.8%減少して63.4百万ト ンになるとされた。 これは、 米国で大幅な生産増による価格の低下に伴って国内 の飼料/工業原料向けの需要が共に増加し、 輸出に仕向けられる数量が減少 (対 前年度比7.9%減) していることが最大の要因となっている。 他方、 米国に次ぐ 世界第2位の輸出国であるアルゼンチンは、 豊作により対前年度比22.3%の8.5 百万トンの輸出が見込まれているが、 世界貿易に占める米国のシェアが圧倒的に 大きいことから、 トータルの貿易量は減少するとされている。 表1 世界の主要トウモロコシ輸出国 資料:USDA「Grain:World Market and Trade」
一方、 輸入国の側から見ると、 かつての世界第2位のトウモロコシ輸出国から、 ここ数年は輸入国に転じていた中国が、 2年連続の豊作により、 再び輸出国に復 帰すると見込まれている。 同国の96/97年度の輸出量は95万トンと多くはないも のの、 94/95年度には3百万トンの輸入を行って世界の飼料穀物需給に多大な影 響を及ぼした経緯があるだけに、 その反響は大きく、 今後の動向が注目されてい る。 また、 その他の主要輸入国では、 メキシコが豊作で輸入量を大幅に減少させ ることが見込まれている。 表2 世界の主要トウモロコシ輸入国 資料:表1に同じ
今回のUSDAの予測によると、 96/97年度末の世界のトウモロコシ在庫は、 前年 比17%増の74.9百万トンに回復すると見込まれている。 しかし、 これは、 在庫率 (総在庫量/総需要量) に換算すると13.2%の低水準であり、 94/95年度末の94 百万トンと比べると大幅に少ない。 結局、 95/96年度に米国を見舞った大不作の 影響が未だに払拭されておらず、 米国を中心とする世界のトウモロコシ需給は、 当面、 大幅な緩和は望めない状況にあるといえよう。 現在、 北半球の主要国、 特に米国における春の作付け動向をめぐって様々な見 通しが出されており、 新農業法による作付けの自由化がどの程度影響を及ぼすか が注目を集めている。 一方、 国際価格の低下とともに東南アジアを中心とする需 要が再び盛り返しており、 トウモロコシの先物取引価格は、 再び上昇気配で推移 しつつある。
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