◇絵でみる需給動向◇
96年の台湾の豚肉輸入量は、 11,400トンとなり、 前年の5,065トンと比較する と125%の急増となった。 96年の輸入量を国別に見ると、 米国が約1万トンと圧 倒的なシェア (88%) を占めており、 残りはカナダからのものとなっている。 な お、 輸入のほぼ全てが加工用の冷凍品となっている (ばらや内臓類は輸入禁止)。 今年に入って、 豚肉輸入が特にこのような増加傾向を示した背景には、 96年7 月のわが国の輸入緊急措置 (セーフガード:SG) 発動まで続いた肉豚卸売価格 (生体100kg当たりの市場平均価格) の高騰が影響しているものと考えられる。
しかしながら、 SG発動以降は一転して肉豚卸売価格が急落したことから、 これ を反映して、 大手加工業者は豚肉輸入を手控えている。 96年の輸入状況を期間別 に見ると、 SG発動までの1〜6月の半年間で全体の71%を占めている。 肉豚卸売 価格は6月をピークに急落しており、 これにほぼ同調する傾向で輸入量が減少し ている。 すなわち、 7月以降は国産物の価格が輸入豚肉の調達価格と折り合わな くなっていったことから、 年末に向けた輸入のメリットが殆ど失われたものとみ られる。 米国は、 豚肉の台湾への輸出拡大に取り組む予定とされていたが、 こう した状況の変化に伴って、 当初の目標を大幅に変更させざるを得なかったとみら れる。
一方、 7月以降下落を続けていた肉豚卸売価格は、 11〜12月に底を打ち、 97年 1月には春節 (旧正月) に向けた需要が増加したことから5,075元 (約2万2千 円) となり、 政府が当面の目標としていた5千元台を回復した。 しかしながら、 さらに、 97年1月には特別セーフガード (SSG) が発動された ことに加えて、 春節明けには、 国内需要が緩み、 現在では再び、 価格下落の趨勢 となっている。
政府は、 今後、 日本を中心とした海外市場に過度に依存する傾向を改め、 国内 市場にも目的を向けた経営戦略への転換を豚肉業界に提言している。 さらに、 一層の生産コスト削減を進め、 国際市場での競争力を高めることによ って、 近い将来に実現するとみている世界貿易機関 (WTO) 加盟後のより競争的 な市場環境への適応能力を向上させることを求めている。
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