専業化が進む養豚産業 (豪州)




● 70年代以降に専業化



 豪州の養豚産業は、 もともと余剰脱脂乳の有効利用のため、 酪農家が小規模に
豚を飼養するという副業的な位置付けにあった。 ところが、 1970年代から専業化
が急速に進み、 豚飼養農家戸数は、 70年の約4万戸から80年には約半分の1万9
千戸へ、 さらに90年には6千8百戸、 95年には3千6百戸へと急速に減少した。 

 豚飼養頭数は、 70年代半ばに農家戸数の減少に伴って大幅に減少した後、 80年
代には、 1戸当たり飼養規模の拡大によってわずかに増加し、 90年代以降は、 ほ
ぼ横ばいで推移している。 95年の飼養頭数は、 繁殖用雌豚29万頭、 肉豚270万頭
であった。 また、 1戸当たり平均飼養規模は一貫して増加しており、 95年には繁
殖用雌豚80頭、 肉豚748頭に達した。 

● 少数の大規模層が4割生産



 飼養規模別の農家戸数を見ると、 繁殖用雌豚9頭以下の小規模経営層の割合が、 
全体の約3割となっている。 これに対し、 1千頭以上の大規模層の割合はわずか
に1%に過ぎないが、 肉豚生産については4割近くのシェアを占めている。 

 また、 現在、 養豚農家は、 飼料となる穀物の生産地帯に分布している。 州別の
飼養頭数は、 ニューサウスウェールズ州が最大で全体の29%を占め、 これにクィ
ーンズランド州の23%、 ビクトリア州の19%が続き、 3州で全体の7割以上を占
めている。 なお、 生産コストは、 生体1キロ当たり1.50豪ドル (140円) で、 そ
の内訳をみると、 飼料費が60%と最もウェイトが高い。 次いで労働費15%、 個体
管理費6%、 修繕・維持費5%、 償却費4%、 金利3%などとなっている。 

● 大半は国内消費向け



 豚と畜頭数は、 90年代以降、 ほぼ500万頭前後で推移しており、 95年は497万頭
であった。 一方、 1頭当たりの枝肉重量は69.2キロと、 ここ5年間で8%増加し
ている。 このため、 豚肉生産量は緩やかな増加傾向を示しており、 95年は35万ト
ンとなった。 なお、 豪州の養豚産業は、 牛肉や酪農産業と異なり、 生産物のほと
んどを国内市場に仕向けている。 全生産量に占める輸出乳量は数パーセントを占
めるに過ぎず、 95年の輸出量は約6千トン、 輸入量は約5千トンであった。 

 1人当たりの豚肉の消費量をみると、 年間18キロでわずかに増加傾向にあるも
のの、 牛肉の35キロ、 鶏肉の27キロに比較するとそのウェイトは低い。 また、 豚
肉の消費形態は、 テーブルミートが約4割、 ハム、 ベーコンなどの加工品が約6
割となっている。 

豪州の養豚産業の動向

資料:APC「Pig Starts 95」、ABARE「Australian Commodity Statistics」
 注:年度は1〜12月

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