WTOが国際食肉/酪農品協定を廃止




● 今年末に廃止の見通し

 世界貿易機関 (WTO) は、 9月30日、 国際食肉協定および国際酪農品協定
の2つの国際協定を今年末を目処に廃止することを決定した。 両協定は、 GAT
T東京ラウンド交渉の合意に基づいて1980年に締結され、 主に、 食肉や乳製
品の国際需給に関する情報を収集し、 加盟国に提供する役割を担っていた。 また、 
乳製品については、 加盟国の間で最低輸出価格を設定し、 ダンピング輸出を抑止
する役割も併せて担っていた。 

 なお、 両協定の廃止に伴い、 両協定を実際に運営してきたWTO食肉協定理事
会および同酪農品協定理事会も、 併せて解散することとなる。 ちなみに、 両協定
の加盟国は、 それぞれ、 国際食肉協定がEU (15カ国)、 米国、日本等を含む3
1カ国、 国際酪農協定はEU (15カ国)、 ニュージーランド、日本等を含む24
カ国 (米国、 豪州は脱退) となっている。 


● 協定の意義は減退

 今回の廃止決定の背景としては、 両協定の意義が次第に減退してきたことが挙
げられる。 例えば、 国際酪農品協定については、 米国、 豪州等の主要な乳製品輸
出国が同協定から脱退し、 かつ、 UR合意以降、 国際価格が概ね堅調に推移して
いることから、 最低輸出価格を設定することの意味が薄れ、 協定を維持すること
自体の意義が失われつつあった。 また、 過去2年間においては、 食肉および乳製
品の国際需給に関する情報交換と年報の発行が両協定の主たる活動内容となって
いたが、 他の国際機関 (FAO等) でも類似の活動を行っていることから、 その
問題点を指摘する声も上がっていた。 

 なお、 本年7月に両協定の廃止案の検討が開始された際、 EUは、 両協定に基
づく情報交換が未だ意義を失っていないとして反対の立場を取っていたが、 その
後、 加盟国の間で廃止も止むを得ないとの合意に達している。



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