◇絵でみる需給動向◇
米農務省が7月に発表した飼料穀物の需給予測によると、 97/98年度 (9 7年9月〜98年8月) における米国の飼料穀物 (トウモロコシ、 ソルガム、 大 麦等) の生産量は、 前月発表の値より約4. 7百万トン (1. 7%) 下方修正 され、 273.7百万トンになるとされた。 このうち、 最大の修正が行われたの はトウモロコシで、 約3. 6百万トン (1. 4%) 減じられて246.4百万 トンになるとされている。 また、 その他の飼料穀物についても、 ソルガムが55 9千トン (3. 3%) 、 大麦も499千トン (5. 8%) それぞれ下方修正さ れた。
今回、 飼料穀物の生産量が軒並みに下方修正されたことの最大の要因としては、 今春、 大豆の価格が高騰したことに伴い、 トウモロコシや他の飼料穀物から大豆 への作付け転換が進んだことが挙げられる。 ちなみに、 大豆の作付面積は前月予 測値より3. 1%増の70. 9百万エーカーに上方修正されたのに対し、 飼料 穀物の作付面積は同2%減の102. 5百万エーカーに下方修正されている。
ただし、 今回の下方修正後の値を近年の生産量の水準と比較して見ると、 飼料 穀物、 トウモロコシともに94/95年度の近年最高記録 (各々284.9百万 トンおよび256. 6百万トン) に次ぐ高い水準であることには変わりがない。 従って、 97/98年度の米国の飼料穀物生産は、 今後、 余程の突発的な気象変 動等がない限り、 2年連続の豊作になると予想されている。 これに伴い、 飼料穀 物の中で圧倒的な割合を占めるトウモロコシの価格も、 97/98年度には23 0〜270セント/ブッシェルでほぼ安定的に推移すると見込まれている。
一方、 近年の世界の飼料穀物需給の特徴として、 在庫率が低下していることが 注目されている。 過去においては年間消費量の20%を超える在庫が国際価格変 動の緩衝材として機能していたが、 ここ数年は当該在庫率が15%を下回る状況 が続いている。 ちなみに、 97/98年度末の世界の飼料穀物在庫率は、 仮に米 国がこのまま2年連続の豊作を達成した場合でも、 13.3%の低水準にとどま ると予測されている。 このため、 現状にあっては、 主要国の飼料穀物需給バラン スに僅かでも変動が生じた場合には、 国際需給に大きな影響を及ぼしかねない状 況が続いていることに留意する必要があろう。
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