◇絵でみる需給動向◇
タイブロイラー加工輸出業者協会が取りまとめた98年9月の鶏肉輸出動向(速 報)によると、鶏肉の輸出量は、前年同月比43%増の 2 万 5 千トンとなった。 このうち、冷凍鶏肉の輸出量は、日本向けが同35%増の11 万 1 千トン、EU向け が同57%増の 5 千トンと大幅に増加したことにより、同44%増の1万 9 千トン となった。また、鶏肉調製品は、日本向けが同 9 %増の 3 千トンとなったもの の、EU向けが同119%増の約 2 千トンと2倍以上に増加したことにより、同38% 増の約 6 千トンとなった。 しかし、 7 月と 8 月にそれぞれ前年同月比59%増、66%増を記録した冷凍鶏 肉の輸出量の伸びが 9 月はやや鈍化している。これは、冷凍鶏肉輸出の約 6 割 を占める日本向けが、 7 月、 8 月にそれぞれ前年同月比61%増、70%増と大幅 に増加したものの、9月は同35%増とその伸びが急速に鈍化したためである。こ の結果、冷凍品と調製品を合わせた鶏肉輸出量全体においても、 7月、8月にそ れぞれ同53%増、62%増であった伸びが減速する結果となっている。 これまでは通貨下落の恩恵によりかなりのハイペースで増加してきた鶏肉輸出 であるが、今後輸出が予定される鶏肉の成約時為替がかなりの円安となったこと および日本における景気の低迷などから、今後の日本向け輸出が減速するとみら れること、バーツ相場が上昇し安定してきたこと(バーツの対米ドル相場は、今 年1 月の 1 米ドル=5バーツから11月初旬には1米ドル=36バーツ)から、今後 の鶏肉輸出の伸び率は、徐々に減少するとの見方が強いようである。 ◇図:鶏肉輸出量の対前年伸び率◇
一方、バーツの為替相場の上昇により、これまで高騰を続けていた飼料価格が 低下し始めている。これは、飼料原料となる輸入トウモロコシなどの価格が低下 しているためで、昨年12月に1kg当たり5.08バーツであったトウモロコシが11月 現在では4.36バーツに、12.36バーツであった大豆粕が8.89バーツに、19.85バー ツであった魚粉が19.45バーツにそれぞれ低下している。 こうしたことから、同国政府は、30kg入りで338バーツであった養鶏用配合飼料 の小売価格を、301バーツに引き下げると発表しており、これまで飼料の高騰によ る生産コストの上昇に苦しんでいた養鶏農家にとって明るい材料となっている。
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