◇絵でみる需給動向◇
トウモロコシの主要輸出国の一つであるアルゼンチンでは、その作付けの最中 にあるが、同国農牧漁業庁は10月23日、98/99年度の作付面積について前年度を 10%下回る336万ヘクタールとの見込みを発表した。州別では、最大の生産州であ るブエノス・アイレス州で、前年度を15%下回る117万ヘクタール、これに次ぐコ ルドバ州で同18%減の75万ヘクタール、サンタ・フェ州で同2%減の47万ヘクタ ールと予想されている。 作付面積の減少が予想される理由としては、降水不足の他、トウモロコシ市況 が、米国の生産増見込みなどを反映して低迷していることが挙げられる。生産者 は、トウモロコシの代替として、より高い収益が見込まれる大豆を作付けしてい るものとみられる。 なお、米農務省(USDA)は、アルゼンチンのトウモロコシ生産量について、天 候要因に恵まれたことなどにより史上最高となった前年度(1千9百万トン)を 22%下回る 1 千5百万トンと予測している。
アルゼンチンでは、経済安定化を背景とした肥料使用の増加、品種の転換(従 来のフリント種からデント種またはデント・フリント交配種へ)などにより、単 位面積当たり収量は、増加傾向で推移しており、97/98年度を 5 年前と比較する と、約 4 割の増加となっている。 ◇図:トウモロコシ収量の推移◇ 同国の生産に占める輸出の割合は、港や鉄道といった輸送関連のインフラ整備 が進められたことなどもあり、92/93年度の47%から、5年後の97/98年度には67 %にまで拡大した。このため、世界の貿易量に占める割合についても、92/93年度 の8%から97/98年度には20%へと増加し、国際市場での影響力を増している。
日本市場もこの例外ではなく、アルゼンチン産トウモロコシの輸入量は、98年 4月から9月までの累計で69万6千トンと前年同期の約2.5倍の水準に達した。同 国からの輸入は、例年、収穫後の当該期間を含む(日本の)春から夏にかけての 期間に集中し、冬場は大きく落ち込むため、年度全体での日本の輸入量に占める シェアは、今後やや減少すると思われるものの、この期間については、前年同期 の 5 %から14%へと拡大している。 この背景としては、豊作、生産性の向上などにより価格競争力が強まったこと が挙げられる。98年4月から8月に輸入されたアルゼンチン産トウモロコシの価格 (CIF)は、 1 万7,766円/トンで、米国産(1万8,409円)よりも安い水準とな っている。 来年の収穫分については、減産が予測されているため、価格は上向くことが予 想されるが、史上2番目の豊作が見込まれる米国の動向も併せて、今後の動きに 注目したい。
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