◇絵でみる需給動向◇
ドイツ市場価格情報センター(ZMP) によれば、 97年上半期の脱脂粉乳の域外 輸出量は、 前年同期比15.1%増の18万8千トンとなった。 輸出が増加した 要因としては、 主要輸出先であるメキシコやアルジェリアなどからの輸入需要が 強かったこと、 前年の輸出量自体が低レベルであったことなどが挙げられる。 脱 脂粉乳の生産量は、 前年同期比2.2%減少していることから、 輸出増加分は、 域内消費の6割を占める飼料向けの減少により賄われたとみられる。 国別の輸出量では、 オランダ、 ベルギー/ルクセンブルクが減少したものの、 それ以外の国々では、 かなり高い伸びを見せており、 特に、 イギリスは3.5倍 の2万3千トンに急増した。 97年上半期の脱脂粉乳の域外輸出量 資料:ZMP (注)フランス、ドイツについては1〜6月の数値、 その他の国は1〜7月の数値
一方、 97年下半期の輸出量は、 海外市場で最大のライバルであるオセアニア 諸国からの輸出拡大が見込まれること、 域内需要が飼料向けを中心に回復基調に あることなどから、 上半期ほどの伸びは期待出来ず、 むしろ前年同期を下回るも のとみられている。 このようなことから、 ZMP では97年通年の脱脂粉乳の輸出 見通しを前年比10%増の25万トンと予想している。
こうした中で、 EU委員会は、 97年10月30日より脱脂粉乳の輸出補助金を 59. 85ECU (8, 265円) /100kgから68. 00ECU (9, 390 円) /100kgと13.6%引き上げた。 EUの輸出補助金は97年8月に一律5 %引き下げられたが、 脱脂粉乳については3ヵ月のうちに逆に引き上げられるこ ととなった。 この引き上げによって、 輸出補助金は、 近年ではかなり高いレベル に達することとなった。 今回、 EU委員会が脱脂粉乳の輸出補助金の引き上げに踏み切った背景としては、 まず生産量の減少にもかかわらず、 域内需要が総じて低迷していることなどから、 8〜10月末の介入在庫量が14万トン台と92年6月末 (16万3千トン) 以 来の高水準になったことが挙げられる。 また、 オセアニア諸国からの輸出が拡大 していることに加え、 米国においても脱脂粉乳の民間在庫量が急増しており、 同 国が、 今後、 輸出に力を注ぐことも考えられることから、 今回の措置は、 EUが海 外市場におけるシェアの確保を狙ったものとみられている。 近年における脱脂粉乳の輸出補助金単価の推移
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