◇絵でみる需給動向◇
6月をピークに一貫して下落を続けた肉豚卸売価格が反発傾向を示している。 6月以降の肉豚価格は、 口蹄疫で輸出市場を失って肉豚の供給がだぶつきぎみと なったことや、 消費が鈍る夏季を迎えたことから、 下降傾向を示していた。 その 後、 盛夏を過ぎても供給過剰の状況が続いたとみられることから、 肉豚価格の継 続的な下落に歯止めがかからずに、 10月下旬には殆どの肉豚卸売市場で1千元 後半〜2千元前半 (生体100kg当たり、 1元=約4円) の水準にまで下落した。 しかし、 その後、 肉豚価格は5月以来の上昇局面に転じており、 12月上旬には 2千元後半〜3千元前半 (同) で推移している。 肉豚価格が上昇に転じた要因としては、 日々の取引頭数には大きな変化が見ら れないことから、 冬場に差し掛かり、 需要が盛り上がってきたことが主因と考え られる。 ◇図: 肉豚卸売価格の推移◇
長引く肉豚価格の下落に対処するため、 台湾養豚協会や台湾省農会 (農民が組 織する、 農協に類似の機関) などの養豚関係諸団体は、 肉豚の供給過剰の解消を 目指して、 傘下養豚農家による自主的な繁殖母豚および子豚の淘汰事業に着手す る予定とされている (政府関係機関紙 「養猪報導」 による) 。 これは、 養豚農家 が家畜市場に肉豚を出荷する際に、 肉豚50頭につき繁殖母豚 (120kg以上の もの。 繁殖母豚を飼養していない場合は、 100kg以上の肉豚または種雄豚を以 って代える) 4頭および子豚5頭を淘汰するというものである。 この事業は、 全 国21ヶ所の肉豚卸売市場の平均取引価格が連続5日、 3,800元 (生体10 0kgあたり) を上回った場合には淘汰を一旦停止するが、 その後、 連続5日、 3, 800元を下回った場合には、 さらに連続3日、 淘汰措置を実施することとなっ ている。 淘汰された繁殖母豚および子豚はレンダリングに向けられ、 その収益は 養豚産業発展基金としてプールされる。 本事業に積極的に協力した養豚農家は、 今後の支援措置が実施される際に、 当基金の優先的支援対象になるとされる。 政府は、 本事業が実施されれば、 5ヶ月後には市場への肉豚供給を8万頭削減 する効果があるとして、 養豚農家に対して積極的な協力を呼びかけている。
こうした中、 口蹄疫は7月15日を最後に発生が途絶えていたが、 12月14 日までに新竹県、 高雄県、彰化県および台中市の養豚場で再発生が確認された(1 2月18日現在) 。 これらの農場では迅速に全頭が殺処分され、 消毒などの措置 が実施された。 農業委員会 (農業省に相当) によると、 今回の発生はワクチン補強接種を実施 しなかったことにより、 豚が抗体を維持していなかったこと、 および気温の低下 に伴い豚の抵抗力が低下したことが原因であるとしている。
元のページに戻る