◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)は、4月下旬に97出荷年度(96年12月〜97年1 1月)のブロイラーの生産動向を発表した。これによると、生産量(生体重量ベ ース、以下同じ)は、前年度に比べて2.9%増の1,702万トンに、販売額 については前年度を1.8%上回る142億ドルとなり、いずれも過去最高を記 録した。 ◇図:生産量と販売額の推移◇ ブロイラーの生産および販売は、業界が、低価格、低脂肪、簡便性などの消費 者ニーズとうまく合致した商品の開発・提供を行なってきたことから着実に拡大 してきた。最近では、調理済み食品の需要が高まっていることから、業界はファ ストフードなどと共同で付加価値の高い商品開発を行い、さらなる拡大を目指し ている。
州別の生産動向を見ると、97年度の最大のブロイラー生産州はジョージアで 前年度比4.6%増となり、前年までほとんど首位を独占してきたアーカンソー と入れ替わった。第2位は、ア−カンソー、続いてアラバマ、ノースカロライナ、 ミシシッピの順となっており、これら上位5州の生産量を合わせると、全米総生 産量の6割を超えている。また、上位5州は米国の南東地域に集中しているが、 この背景としては、ブロイラー生産に適した温暖な気候であることや、他州に比 べて比較的労賃が安いことなどの地域的な特性が挙げられる。ちなみに、米国の 最大手の家きん会社であるタイソンフーズやゴールドキストの本社の所在地は、 それぞれアーカンソー、ジョージアである。 ◇図:97年度州別生産割合◇ その他の州のうち、著しい生産増がみられたのは、ケンタッキー、ミシガンで、 前年度に比べてそれぞれ50.3%、31.8%増の大幅な伸びを示した。一方、 大幅な減少に転じた州はネブラスカで、前年度に比べ38.3%の減少となった。 97年度は、総じて東部地域で生産増となっている。
近年のブロイラー生産は、土地や環境の制約を受け主要生産州での一層の拡大 が厳しい状況になりつつある。このため、他州での生産拡大がみられるが、温暖 で飼料穀物が入手しやすいコーンベルト地帯周辺が経営上有利であるとされるこ とから、移転先のほとんどは東部の隣接州となっている。 ブロイラー業界は、全米各州での環境規制が強化される中、今春、環境対策が 今後の生産拡大のカギと位置付け、定期的な環境会議を実施し、業界を挙げて環 境問題に積極的に取り組む姿勢を明らかにした。
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