◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)は、4月に発表した飼料穀物の需給予測において、同国の97 /98年度(9月〜翌年8月)末のトウモロコシ在庫を、3月発表時の数量から2 億6千万ブッシェル(660万トン)上方修正して、12億900万ブッシェル (3,071万トン)とした。 前年度と比較すると、作付面積の増加に伴う生産の増加や輸出の減少などによ り、37%(3億2,600万ブッシェル(828万トン))の増加となるが、 過去の在庫数量と比較すると依然として低い水準にある。 ◇図:米国のトウモロコシ年度末在庫の推移◇
今回のUSDAの予測では、生産量は、3月発表時から変更されていないため、在 庫の上方修正は、米国内での消費と輸出の見込みを下方修正したことによるもの である。 97/98年度の米国内での消費見込みについては、当該年度上半期の、特に 飼料用の需要が予測したほど伸びなかったため、3月の予想値から1億5千万ブ ッシェル(381万トン)の下方修正となった。 一方、年度でみた場合、飼料用については、家畜飼養頭数の増加を反映して6 %の伸びが見込まれている。例えば、豚については、3月1日の飼養動向調査で、 繁殖豚が2%増加するなど、今後も増頭が見込まれるほか、ブロイラーについて も98年は、前年を4%上回る生産が予想されている。 ◇図:米国のトウモロコシ消費用途別数量の推移◇
97/98年度の輸出については、経済危機によるアジアの輸入国の需要減退 や他の輸出国との競争激化などにより、3月発表時の数量を1億ブッシェル(2 54万トン)下方修正した。通年では、前年度比15%減の15億2,500万 ブッシェル(3,874万トン)と予測されている。 97年9月から98年4月2日までの輸出成約状況についてみると、前年同期 を25%近く下回った。国別で最も減少したのは韓国向けで、前年同期に比べて 62%(約270万トン)のマイナスとなった。なお、USDAによれば、同国は、米 国産トウモロコシの代替として国境付近の中国産や東欧産のものを輸入している とみられている。
米国との競合を強めているアルゼンチンについて、USDAは、世界市場で年間を 通じて米国と競合できる唯一の国と位置づけ、その動向に注目している。同国で は、多額の外資が国内の流通関係のインフラ整備に使用された結果、鉄道輸送料 金が2割以上低下したことや、大型船の利用が可能となり、輸送量の増大や輸送 効率の向上が図られたことなども、競争力強化につながった。 さらに、ここ数年の生産量の拡大で、対米価格優位性や安定供給可能なサプラ イヤーとしての信頼度も高まっているものとみられている。なお、同国産の飼料 穀物生産量は、89年から97年の間に約3倍増加し、単位面積当たり収量も2 5%増加した。
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