◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)は、4月15日、98年の第1四半期の生乳生産量(速 報値)を公表した。これによると、同四半期の生乳生産量は、前年同期比0.8 %増の1千8百万トンとわずかな伸びにとどまっている。乳用経産牛の飼養頭数 は、同1.2%減の918万4千頭となり、前年の第4四半期と比較しても2万 2千頭の減少となっている。なお、第1四半期の経産牛1頭当たりの平均乳量は、同 2.1%増の1,940kgとなった。 98年第1四半期の州別生乳生産量 資料:USDA「Milk Production」
第1四半期の生乳生産を州別に見ると、カリフォルニアなど上位4州が生乳生 産を伸ばしているのと対照的に、5位以下の諸州はアイダホを除き減少しており、 上位4州との差が拡大している。この中で、アイダホだけが前年同期比15.6 %増と突出し、上位10州の中で最も高い伸びを記録している。アイダホは、97 年第4四半期には、ミシガン、ワシントンを抜いて全米第7位の生乳生産州に躍 進したが、97年通年では第9位にとどまっていた。98年第1四半期も前四半 期と同一順位を維持したことで、全米でも有数の「酪農州」の仲間入りをしつつ ある。 アイダホは、92年以降急速に生乳生産を伸ばしており、特に、94年からは、 10%以上の高い伸びを維持している。一方、現在第6位のテキサスは、小規模 経営体の廃業が加速していることと併せ、大規模経営体の新たな進出も見られな いことから、94年をピークに生乳生産が減少している。このため、この傾向が 続けば、アイダホは近い将来テキサスを抜いて全米第6位の生乳生産州になるも のと見られている。 ◇図:主要州の生乳生産の前年比の推移◇
アイダホ州の酪農経営体数は、全米各地でみられる傾向と同様に、乳用経産牛 の飼養規模が100頭未満の中小経営体を中心に年々減少を続けている。しかし、 良質な粗飼料供給基盤と他州と比較して緩やかな環境規制などを背景にして、2 00頭以上の大規模経営体数が、95年以降、毎年10%以上増加している。こ のことが、アイダホ州の生乳生産量の急速な拡大をもたらしていると言える。 ◇図:アイダホ州の乳用経産牛飼養規模別経営体数の推移◇
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