マレーシア、鶏卵に価格統制の動き


試験的に価格統制品目へ

 マレーシアでは、鶏肉をはじめとする基礎食料品や生活用品などの安定的な消
費を図るため、これらを価格統制品目として指定し、政府が決定した価格の範囲
内でしか売買できない制度を導入している。

 今般、この価格統制品目に鶏卵が新たに指定される動きが見られ、98年3月
16日から3月31日まで試験的に実施された。国内取引・消費者行政相による
と、@試験期間の農家販売価格を卵1個当たり20.5セン(100セン=1リ
ンギット=35.8円)、小売価格を24.5センとする。A4月1日以降は上
限価格を農家販売価格で1個当たり23セン、小売価格で27センに設定する。
Bこの価格以上での販売を行うときには同省の許可が必要、となっている。


農家は小売価格の値上げを期待

 最近、マレーシアでは、通貨リンギットの下落により、輸入飼料の価格高騰が
著しく、これに伴う畜産物価格の上昇が大きな問題となっていた。トウモロコシ
や大豆ミールなどの輸入飼料は、主に米国やアルゼンチンから輸入されているが、
購入飼料価格は通貨下落前の97年8月時点でトン当たり25リンギットから9
月には65リンギット、10月には100リンギットと急騰し、98年1月では
250リンギットにまで上昇する状況となっていた。この影響を受けて鶏1羽当
たりの飼育コストは、97年11月の44リンギットから98年1月には6リン
ギット高い50リンギットとなった。この生産コストの上昇のため、鶏卵農家組
合では試験的な価格統制を導入する以前に、1個25センの小売価格を27セン
に値上げをすることを同省に要請したが、同省は消費者物価の上昇につながると
して値上げの許可を拒否していた。


予想される養鶏農家などの反発


 鶏卵の価格統制品目指定に対し、鶏卵生産農家では、試験期間中の販売価格は、
現在、上昇傾向の飼料価格に押し上げられた生産費に見合う価格ではないこと、
農家の収入を確保するための下限価格の設定がないことなどを理由に、価格統制
品目指定に反対している。また、鶏卵販売者組合においても、価格高騰時は定額
での仕入・販売が可能なことから問題はないが、価格下落時の損失が大きくなる
として指定に反対している。

 今後の動向については、詳細はまだ発表されていないものの、本格的な導入が
決定されると、経営に困難を来している養鶏農家などから、一層の反発が予想さ
れる。



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