豪州の牛肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○97/98年度上半期の牛と畜大幅増、輸出も好調


雌牛と畜頭数が大幅に増加

 豪州統計局(ABS)によると、97/98年度上半期(97年7月〜12月)の牛と畜頭
数(子牛を除く)は、前年同期を17%上回る399万 7 千頭となった。上半期のと
畜頭数は、96/97年度までは、減少ないし横ばいで推移してきたが、97/98年度に
おいては大幅な増加となった。特に、雌牛のと畜頭数は前年同期を30%上回る19
1万 2 千頭と、牛全体のと畜頭数の伸びと比較して大幅な増加となっており、と
畜頭数全体に占める雌牛の割合も48%と、過去十数年間で最も高い水準となって
いる。これは主に豪州南東部の多くの肉牛生産地域での降雨不足のため、草地が
劣化したことにより、肉牛農家が牛群の整理に動いたことが一因になっているも
のと思われる。

◇図:と畜頭数推移( 7 〜12月)◇


好調な輸出市場も影響

 一方、肥育牛のと畜の増加に関しては、好調な輸出市場も影響しているものと
思われる。具体的には、@牛肉消費の回復を反映して対日輸出が増加、A米国の
キャトルサイクルが減少局面に入ったことにより、加工原料用牛肉の対米輸出が
増加、B米ドルに対する豪ドル安の影響で対日・対米ともに輸出が増加している
こと、などが挙げられる。さらに、通貨危機により東南アジア向けの生体牛輸出
が減少し、これが豪州国内市場に向けられたことなども、と畜頭数増加に影響し
ているようである。

 また、枝肉生産量(子牛を除く)についても、と畜頭数の増加を反映した形で、
前年同期を15%上回る95万 8 千トンとかなり大きな増加となった。


肉牛価格も上昇傾向

 なお、肉牛価格についても、97/98年度上半期は、日本向けタイプ・米国向けタ
イプともに上昇傾向にある。肉牛の供給が増えているにもかかわらず、前述の好
調な輸出状況を反映して、96年の底値水準を脱し、堅調に推移した。

◇図:肉用牛価格の推移◇



元のページに戻る