タイの鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○タイの鶏肉需給


97年、20%を超える生産増

 タイ農業共同組合省が公表した統計によると、12月のブロイラーの生産量は、前
年同月比18.1%増の75.1百万羽となった。年初から8月まで続いた20%を超える
大きな伸びにより97年の生産量は、前年比23.6%増の849.2百万羽と大幅な増産と
なった。また、12月のひなのふ化羽数は、前年同月比18.5%増の78.6百万羽とな
り、好調な鶏肉輸出に支えられ養鶏農家の増産意欲が旺盛なため、依然として高
い伸びとなっている。その結果、97年のふ化羽数は、前年比22.6%増の887.7百万
羽となった。


97年9月以降、生産コストが上昇

 97年12月の生産コスト(生体鶏1kg当たり)は、前年同月比28.6%高の26.24バ
ーツとなり、9月以降、大幅な生産コストの上昇が続いている。97年の生産コス
トは、年初から8月期が前年同期比4.7%高の23.91バーツとわずかな上昇で推移
したものの、同年7月以降の通貨バーツの下落の影響で、仕入コストの上昇など
により、9月以降12月までは前年同期比9.9%高の24.85バーツとかなり上昇した。

 上昇した生産コスト(1羽当たり)の経費内訳を見ると、ひな経費の上昇が最
も大きく、前年比32.2%高の9.53バーツ、続いて、水道光熱費が同19.2%高の0.51
バーツ、地代などの固定費が同14.3%高、薬剤費が同11.0%高、労働費が同10.9
%高となった。また、飼料費は、年初から7月期が前年同期比0.4%安の31.01バ
ーツと安定的に推移したが、8月から12月期で前年同期比10.3%高の35.14バーツ
とかなり上昇したため、97年の平均では、前年比4.2%高となった。

 一方、生産コストの上昇に伴い、9月まで比較的安定していた農家販売価格(生
体鶏)は、10月から12月期が、前年同期比16.7%高の28.0バーツ/kgと大幅に上
昇したものの、 1 月から9月期が、前年同期比2.2%安の25.4バ−ツ/kgであっ
たため、97年の平均販売価格は26.1バーツ/kg、前年比2.2%高とわずかな上昇に
とどまった。


卸売価格も上昇

 バンコク市場における同年12月のと体鶏(中抜き)1kg当たりの卸売価格は、
前年同月比15.7%高の37.3バーツ/kgと上昇し、下落が続いている豚肉の同市場
における卸売価格とほぼ同水準となった。9月から12月期が11.0%高とかなり値
上がりしたものの、 1 月から8月期の同価格が前年同期比1.2%高とわずかな上
昇であったため、97年の同平均卸売価格は、前年比4.4%高の33.93バーツ/kgと
なった。しかし、98年1月から3月上旬までの同価格(速報値)は、36から37バー
ツ/kgの高水準で推移している。


好調な鶏肉輸出が継続

 タイブロイラー加工輸出業者協会が取りまとめた98年1月の鶏肉輸出動向(速
報)によると、冷凍鶏肉および鶏肉調製品の輸出数量は、前年同月比15.7%増の
16,192トンとなり、通貨バーツの下落による競争力の回復などから大幅な増加と
なった。そのうち、冷凍鶏肉の輸出数量は、日本および韓国向けなどの増加によ
り、アジア向けが前年同月比5.8%増の9,220トン、ドイツ、フランスなどの増加
によりヨーロッパ向けが前年同月比50.8%増の3,896トンとなり、合計で前年同月
比15.2%増の13,207トンと大きく増加した。また、鶏肉調製品の輸出数量は、韓
国、シンガポール向けの大幅な増加にも関わらず、日本向けが前年同月比23.6%
減少したことにより、アジア向けが前年同月比22.1%減の1,778トンとなった。し
かし、昨年から好調な輸出が続いているEU向けが前年同月の約5倍の数量とな
ったことにより、調製品合計では、前年同月比18.1%増の2,985トンと大幅に増加
した。



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