世界の飼料穀物の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○価格は弱含みの展開


前年を上回る米国の作付予想面積

 米農務省(USDA)が、3月31日に発表した作付意向調査によると、トウモロコ
シが3,269万ヘクタール、大豆が2,914万ヘクタールと、それぞれ前年の作付実績
を0.7%および1.6%上回る予想となった。これらが現実となった場合、トウモロ
コシについては85年以降で最大、大豆については過去最高の作付面積となる。

 トウモロコシの州別作付意向結果では、最大の生産州であるアイオワ州で前年
並み、これに次ぐイリノイ州で前年比0.9%の減少となるなど、いわゆるコーンベ
ルト各州で伸び悩んだ。一方、南北ダコタ州、テキサス州、南東部諸州などでは、
前年を上回る結果となった。

 昨年に引き続きこれらの作物の作付意向が強い理由としては、天候要因などの
ほかに、96年農業法によって生産調整(減反)と作付の自由化が実施された影響
も指摘される。生産者は、作付面積の拡大による単位当たり固定費削減や総収入
の増大などを意図しているものと考えられる。

全米及び主要州におけるトウモロコシの作付面積

 資料:USDA/NASS「Prospective Plantings」


米国のトウモロコシ在庫量、前年同月比約10%増

 USDAが発表した 3 月 1 日現在の米国の穀物在庫量調査によると、トウモロコ
シは 1 億2,541万トン、大豆は3,273万トンで、それぞれ前年同月を9.6%、13.9
%上回った。

 こうした原因としては、まず輸出の減退が挙げられる。ドル高により全般的に
輸出条件が不利になっていることに加え、アジアでの経済の混乱により需要が大
きく後退している。また、欧州諸国やアルゼンチンなどとの競争激化もこうした
状況に拍車をかけているものとみられている。このほか、トウモロコシを原料と
するエタノールの利用が落ちていることも需要減の一因となっている。


需給緩和が価格の下げ要因に

 USDAのこれらの発表は、市場に対して価格の下げ圧力となり、4月に入り価格
は一段と弱含みで推移している。トウモロコシ価格(シカゴ相場、先物、期近価
格)は、 4 月 1 日から 6 日の終値の平均で2.53ドル/ブッシェルと 1 月末お
よび 2 月末の終値に比べて、それぞれ7.3%、2.0%の値下がりとなった。

 一部の市場関係者からは、こうした価格動向が作付意欲を減退させ、実際の作
付面積は、今回の調査をかなり下回るのではないかとの見方も出されている。一
方で、輸出環境をみると、アルゼンチンで前年をさらに上回る記録的な豊作が見
込まれており、同国産の飼料穀物が市場に出回る98年第2四半期以降さらに輸出
競争が厳しくなると予測されるなど、全般的に価格が上回く材料には乏しい。

 今後、米国のコーンベルト地帯では、作付が本格化していくが、その動向に大
きな影饗を与える天候なども含めて、目が離せないところである。



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