台湾の豚肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○肉豚卸売価格、上昇へ


4 ヶ月ぶりに上昇

 97年11月以降、一貫して安値安定傾向で推移していた肉豚卸売価格が4ヶ月ぶ
りに上昇の気配を見せている。

 肉豚需給は、97年3月の口蹄疫発生以降、わが国を中心とした輸出市場を失っ
たことによる国内供給過剰状態が続いており、卸売価格は、97年11月以降はほと
んどの市場で 2 千元後半〜3千元前半(生体100kg当たり)の安値で推移してい
た。卸売価格は、年間を通して最も豚肉需要が盛り上がる「春節」(旧正月)の
前後には反発傾向を示したものの、継続的な上昇には至らなかった。しかし、3
月以降は上昇に転じており、 4 月上旬の段階ではほとんどの市場で 3 千元後半
〜 4 千元前半の水準にまで回復している。

 肉豚の供給量についてみると、全国22市場の肉豚卸売市場における3月の取引
頭数は、2月と比較すると約14%減少していることから、このように肉豚卸売価
格が上昇し始めた背景としては、今年1月から実施されている「繁殖母豚と子豚
の陶汰による豚価安定計画」が功を奏し、豚の減産ムードが高まる中で肉豚の供
給が減少し始めたことが考えられる。

◇図:肉豚卸売価格の推移◇


WTO加盟に向けて進む取り組み

台湾は長年、世界貿易機関(WTO)加盟に向けて努力を重ねてきたが、98年 2 月
20日に台湾と米国のWTO加盟交渉が合意に達した。米国との合意により、台湾のW
TO加盟が現実味を帯びてきたことから、農業委員会(農業省に相当)は、政府、
業界、学会の代表から構成された「WTO加盟に関する農業専門グループ」を組織し
た。

 口蹄疫により大きな打撃を受けた養豚産業の建て直しと、WTO加盟をにらんだ養
豚業界の具体的な対応措置は以下の通りとなっている。

1 口蹄疫救済貸与金の返済期限延長

 貸与期限を 3 年から 5 年に、猶予期間を 1 年から 1 年半に延長する。

2 養豚産業発展基金の造成

 「畜牧法」に基づき基金を造成し、豚の淘汰、買取り、と畜、冷凍保管、販売
促進(販路拡大)などの調整関連措置に用いる。

3 豚飼養頭数の縮小

 全国の豚飼養頭数を、生産・販売のバランスがとれるよう600〜750万頭にまで
減少させる。

4 養豚産業構造の調整と輸送販売体系の改善

 @養豚の経営効率を向上させ、競争力を強化する。
 A豚の品種を改良し、地域の特色を備えた品種を作出する。
 B肉類の輸送・販売体系を近代化し、肉類の衛生安全管理を強化する。
 C「台湾豚肉」のブランドを確立し、輸入豚肉との差別化を図る。



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