採卵鶏の飼育に関する基準強化を提案(EU)




今後10年間でバタリーケージの大きさを約 2 倍に

 EU委員会は、このたび、動物愛護を目的として、採卵鶏の飼育に関する従来の
基準(指令88/136EEC)を強化する提案を行った。この提案は、バタリーケージで
の鶏の飼育が、明らかに動物愛護の配慮に欠けているとする、96年のEU科学獣医
委員会(ScVC)の報告に基づき行われたものである。

 これによると、バタリーケージの大きさの下限を現行の 1 羽当たり450平方セ
ンチから以下の通り引き上げることとしている。その結果、ケージの大きさは、
今後10年間で現行の約 2 倍になる。

 1 99年 1 月 1日以降バタリーケージを設置する場合、800平方センチ以上とす
  る。

 2 99年 1 月 1 日時点で設置後10年以下のケージの場合、2009年 1 月 1 日以
  降800平方センチ以上とする。

 3 99年 1 月1 日時点で設置後10年以上経過したケージの場合、2004年 1月1日
  以降550平方センチ以上、さらに2009年 1 月 1 日以降800平方センチ以上と
  する。

 一方、EU委員会では、この基準変更に伴う生産者の設備投資などの支出に対し、
EUおよび加盟国レベルでの助成措置を図ることを表明した。

 従来より、動物愛護団体などからはバタリーケージでの飼育禁止を求める意見
があったが、この提案では、バイタリティーケージでの飼育禁止を主眼としてす
べての採卵鶏の飼育方法についても、今後、再調査することとし、2006年までに
動物愛護に配慮した飼育方法の選定を行うこととしている。


生産者は競争力の低下を理由に強く反対

 EUでは採卵鶏の9割以上がバタリーケージで生産されており、今回の提案に対し
て生産者は、大幅な生産性の低下および国際市場における競争力の低下を理由に
強く反対している。特に、世界最大の鶏卵の生産国である米国においては、バタ
リーケージの大きさに下限の規定はなく、平均的な大きさは、一羽当たり350平方
センチとEUよりさらに小さいことを指摘している。

 今回の提案については、EU最大の生産国であるフランスから激しい反対が予想
される一方、既に厳格な基準が導入されているイギリス、ドイツ、スウェーデン、
フィンランド、オーストリアおよびベルギーでは異論がないものとみられている。



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