ニュージーランド、乳価支払方法を変更




従来は標準コストモデルから乳価を算出

 ニュージーランドにおける現行の乳価は、乳製品の種類に応じて、生乳原価、加
工経費、集乳経費、管理経費の 4項目から設定された標準コストモデルから算出
され、輸出を一元的に管理するニュージーランド・デイリー・ボード(NZDB)か
ら乳業メーカーでもある各酪農協、そして生産者へと支払われている。
しかしながら標準コストモデルは、机上での想定価格であるため、実際の製品製
造コストが標準コストモデルを上回る場合には、生産者への支払は生乳原価部分
のみ、下回る場合には差額が生乳原価に上乗せされて支払われており、乳業処理
加工施設の生産性に応じて、生産者への支払乳価は酪農協により異なっていた。


新方式では乳製品の付加価値評価を明確に反映

 このほど、NZDBは、酪農協に対する支払乳価について、今年 6月から、製品の
付加価値への評価を組み込んだ方式に変更すると発表した。新たな方式では、NZ
DBによる販売促進、いわゆるマーケティング部分と、各酪農協による製品開発部
分への金額的な評価を明確化し、それぞれの寄与率に応じて、@標準品、A広告
や包装デザインなどマーケティングによる付加価値製品、Bマーケティングによ
る付加価値と製品組成など製造段階に起因する付加価値が混合した製品、C製造
段階に起因する付加価値製品の 4種類に分類される。これまでも、奨励金などに
より付加価値製品開発にインセンティブが与えられていたが、乳価算定に組み込
まれることにより、この傾向はより一層、明確なものになると見込まれる。

 また、現行の支払方式は、生産者乳価の積増しを目的に、乳業処理加工施設の
近代化や合理化を誘因する面が強く、近年の酪農協の合併を推進する大きな要因
となっていたが、これからはお互いの製品開発能力といった分野も、合併に当っ
ては重要な要素となるとみられる。

 関係者の説明では、今後は、製品の付加価値に応じて乳価が異なってくるため、
先行きの乳価が不透明なままに先行投資が必要となる側面があるものの、より消
費者本位の製品開発が進むことにより、酪農家段階から消費者を意識した生産が
行われるとしている。


今後はNZDBから酪農協主導型に

 今回の変更には、これまで不透明だったNZDBのマーケティング活動に関しても
評価を設けることにより、組織の役割を明確にしようとの狙いもあるとみられる
が、マーケティングに失敗した場合は避難が集中する可能性もある。

 現在のところ、新たな支払方法に関して、具体的な算定手続きなどの詳細は明
らかにされていないが、これまでのNZ-DBから酪農協への乳製品の生産委託と言え
るNZDB主導型の体制から、支払方法の変更後は、酪農協が国際市況をみながら生
産し、NZDBに販売を委託する酪農協指導型の体制になると予想される。



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