不振の97年マレーシア鶏肉産業




97年種鶏の飼養羽数、前年比2.7%増

 マレーシア政府は、鶏肉需給に大きく影響するブロイラー用ひなの生産動向な
どを把握するため、毎年、ブロイラー用ひな生産者を対象に鶏肉産業の実態調査
を行い公表している。

 これによると、96年に42者を数えたブロイラー用ひな生産者は、97年にはひな
価格の下落などによる経営の行き詰まりから31者に減少した。しかしながら、種
鶏の飼養羽数は、11者の廃業にもかかわらず、大規模農家のさらなる規模拡大に
より、前年比2.7%増の3.8百万羽となった。

 なお、96年に60種であった鶏種の種類が97年に44種に縮小、合理化されたこと
は、生産コストの削減に大きな効果があったとしている。


供給過剰からひな価格が低迷

 92年以降、上昇傾向で推移していたマレーシア産種鶏の市場に占める割合は、
96年の69%から97年には62%に低下した。その反面、米国・カナダ産は9%から
15%へ、インドネシア、韓国産は0.3%から2.4%へ逆に増加し、輸入種鶏の割合
が拡大した。

 その一方で、97年のブロイラー用ひなの生産羽数は前年比5.9%増の382百万羽
となった。このため、同年のひなの価格は、第1四半期が96年末から継続した好
需要に支えられて約 1 リンギット/ 1 羽(1リンギット=約35円)と好調であ
ったものの、 5 月以降は供給過剰により急落し、 6 〜7月には最悪の状況に陥
った。その結果、同価格は、年平均で0.75リンギット/1羽と低迷した。

 また、同年の生体鶏の農家販売価格は、供給過剰により下落傾向で推移し、前
年比4%安の2.69リンギット/kgと下落幅は小さいものの、通貨リンギットの下
落による生産コストの上昇で、多くの養鶏農家は採算割れとなった。


供給過剰からひな価格が低迷

 先般、マレーシアの2大労働組合は、農家販売価格が低迷する中、流通業者に
よる安易な鶏肉小売価格の値上げが行われているとして、2月末日から10日間の
組合員による鶏肉不買運動を起こした。その影響で多くの養鶏農家が廃業したと
伝えられる。通貨リンギットが安定してきた矢先のことで、今後、養鶏農家によ
る鶏肉の安定供給の継続が懸念されている。



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